インドネシアと投資

 インドネシアに新たなユニコーン企業が誕生しました。 「ユニコーン企業」とは、創業から10年以内、企業評価額が10億ドル以上の未上場のベンチャー企業のことです。
 その企業の名は「Ajaib」、「魔法の」という意味です。
 どんな企業かというと、投資会社で株と投資信託事業を行う会社で、株と投資信託の取引が簡単にできるようなアプリをリリースしました。
 簡単操作が高評価で、若者を中心に現在100万人以上のユーザが登録しているそうです。5分も操作すれば感覚で使えるようになるアプリで、若者に凄くマッチしました。

 インドネシアで投資する人は居ますが多くはありません。その中で一番人気の投資先は不動産です。 しかし、不動産が高騰したせいで若者が手を出せず、他の投資先を探すようになりました。
 そんな中、昔からある株と投資信託はもちろん、様々な投資企業が出てきました。
 例えば Peer-to-peer Lending(ソーシャルレンディング)事業のInvestreeや、peer-to-peer agricultural(農業レンディング)事業のiGrowや、仮想通貨・インデックスファンド事業のPluangなどが成長を見せています。

 以前はオンライン消費者金融が流行るほどの浪費癖のある人が多いインドネシアでしたが、パンデミックによって現状に気づいた人は多く、お金の使い方に気をつける人が増えました。
 これはインドネシア国民にとっての追い風になるとともに国にとっても追い風になっているでしょう。 なにせ、3-4割の人しか銀行口座を持っていなかったインドネシアの人々ですが、これによって口座を作る人も増えるでしょう。なぜなら、投資からの利益の引き出し方法は基本、銀行口座に振り込まれるからです。 そして、国は納税を促すことも容易になるでしょう。
 「Ajaib」は“若者に使いやすい”を重視して、適切な手段、アプリを使ってユニコーン企業になれました。
 この会社ではアプリは急成長の決め手となりましたが、裏でしっかりとしたビジネスがないと成り立たない仕組みになっています。 アプリやシステムだけに頼るのではなく、背景にあった問題解決を導く企業は成功すると改めて思いました。

サプタ・リズキ・テイルタユダ