ニーズをつかむ

 事業再構築補助金の3次公募が9月21日に締め切りとなり、応募された企業様は、その採択発表を心待ちにしておられることと存じます。一方、次の第4次公募に向け、事業再構築のアイデアを絞り出し、申請書の作成に取り掛かっておられる企業様もおられることでしょう。第1次、第2次の採択結果を確認いたしましたが、合計で12,202社が採択されております。これらの企業は交付申請を行い、事業化に向けて取り組み始めていることでしょう。

 この約12,000社の内、“テイクアウト”と“キッチンカー”のキーワードで検索しますと、併せて、1,317社が対象となります。実に、1割以上の企業がテイクアウトサービスやキッチンカーを利用したサービスを事業の再構築として転換しようと考えておられます。飲食店を中心に、コロナによる影響で緊急事態宣言やまん延防止等重点措置により、店が開けられなかったり、お客様が来店されない現状を打破するために、“テイクアウト”や“キッチンカー”への事業転換に取り組もうとされています。

 弊社のクライアント様で、岐阜県岐阜市にあります株式会社林商事をご紹介いたします。
林商事は、食品用の包装資材を中心とした各種資材の販売をしておりますが、上記のような“テイクアウト”や“キッチンカー”を始められる事業者様のニーズにお応えするために、10月4日にECサイトを構築されました。もし、食品用の包装資材でお困りの事業者様がお見えでしたら、『ぱっく&ふくろの店 STORES店』にアクセスしてみてください。豊富な商品の中から、お探しの包装資材を見つけることができると思います。

 次に、ニーズをつかんで新商品を開発された企業を紹介いたします。名古屋市にある有限会社尚友社製本所の冨田常務は、お嬢さんとお孫さんの悩みを解決するために新商品を開発されました。お孫さんが幼稚園で制作して持って帰ってきたり、自宅で描く可愛い絵が増える一方で困っておりました。実は、このような悩みは、お子様を持つお母様の共通の悩みのようです。お子様の大切な絵は処分することができず増え続ける一方だからです。その困り事を解決するために、冨田常務は試行錯誤を繰り返し、結果的に、新商品の開発のきっかけとなりました。商品名は、「がくdeカザール」といい、実用新案も登録されています。ちょっとした出来事を見逃さずにニーズをつかみ、行動した結果です。お嬢さんもお孫さんもとても満足しておられるようです。「がくdeカザール」は、紙芝居のように絵を簡単に差し替えることができますから、お子様自ら、自宅を訪ねてこられるお客様に、見せたい絵を選んで入れ替えておられるようです。

 冒頭では、事業再構築補助金の採択結果について述べました。コロナの影響により、事業を根本的に見直さなければならない企業も多いかと思いますが、一方で、それを実現するのは、このような小さなニーズに気づき、大切に対応し続けることと、実現化のスピードが重要ではないかと思います。

取締役 牧野 春彦