コーヒーでもデジタル

 前回に続き、今回もインドネシアのユニコーン企業を紹介します。
 またまたインドネシアで新たなユニコーン企業が誕生しました。その名も「Kopi Kenangan」。名前の通り、飲食業のコーヒーチェーン店です。
 「インドネシア産のコーヒーを世界に」をミッションに、Grab&Goのコンセプト(持ち帰り・デリバリーに力入れている)を用いて、設立から急成長を見せています。
 Kopi KenanganはCシリーズで9,600万ドルの投資受けて東南アジアで飲食業界初のユニコーン企業になりました。
 現在Kopi Kenanganはインドネシア全国で約600店舗を構えるコーヒーチェーン店となります。
 Kopi Kenanganのネーミングは遊び心が満載で、Kenanganはインドネシア語で“思い出”という意味です。メニュー名にもKopi Kenangan Mantan(元カノ・彼の思い出のコーヒー)やコーヒー以外のメニューにはMinuman Selingkuhan(浮気の飲み物)と名付けたりするなど、若者に人気の理由の一つです。

 コーヒーはインドネシアでは馴染みのある飲み物です。
 インドネシア人にとって、カフェやコーヒー店は日本でいう居酒屋みたいな立ち位置です。喋りながらコーヒーを飲んで軽食を食べてワイワイするのがインドネシアではよく見られる光景です。
 インドネシアのコーヒーは世界的にも有名です。インドネシアの中でも生産地域によって味が異なるのが特徴的で、国全体の生産量は世界4位になります。

 Kopi Kenanganは一見普通のコーヒー店に見えますが、成長の理由が色々考えられます。
 まず、自分の会社を「自称スタートアップ企業」といって、ITのスタートアップ企業がやりがちな事を徹底的にやっています。例えば「積極的に投資を受ける」、Kopi Kenanganが世に出て間もなく投資を受けるというニュースが出ました。飲食店が投資を受けてニュースにされることは珍しく、たくさんの人は驚いたでしょう。そして、受けた資金を成長のために使って「素早く成長する」。
 Kopi Mantanはお店のコストを低く抑えて店舗数を増やす戦略を実行しました。その作戦は大成功で、たった4年でユニコーン企業になりました。現在インドネシアだけに留まらず、マレーシアとシンガポールにも進出しています。

 そして「自称スタートアップ企業」が取った判断は最初からデジタル(アプリ)でした。Kopi Kenanganは最初からアプリで注文できます。ただ、そのアプリは今入っている機能全てが最初から使えるわけではありませんでした。徐々に機能を追加して注文・デリバリー・キャンペーン・ポイントなどが使えるようになっていきました。
 それはまさにIT企業の事業展開のやり方です。今後アジア中心に海外進出の計画をたてているそうです。

 Kopi Kenanganのユニコーン化はIT企業だけが成長できる時代ではなく、ITは組み合わせの自由度から他の分野でもITを使いこなせれば成長できること改めて思わせる出来事でした。

サプタ・リズキ・テイルタユダ