ローカルEC

 オミクロンの影響で、まん延防止等重点措置の期限が2月13日から3週間の延長で調整され、3月6日頃まで延長されることが有力視されております。巷では、閉鎖する学校も増え、感染者がかなり身近なところまで迫ってきた雰囲気があります。

 そのような中、2月1日から多治見市で地域限定ECサービス「Tajimingo(タジミンゴ)」の本稼働がスタートしました。この話題は、2月1日のNHK WEBニュースでも取り上げられました。

 このプロジェクトは、愛知県春日井市に本店をおきます株式会社トーカイ薬局の企画によるものです。コロナの影響を受け、感染を避けるために、医療機関への受診抑制やスーパーへの買い物控えによる影響が地域で如実に現象化したことを受け、リアル店舗以外にオンライン店舗へのシフトを急がなければならないという考えによるものです。この考えは自社だけではなく、地域のローカルスーパーや飲食店も同様に困っているはずであるという思いをもと、地域全体の<事業の活性化を目指した『ローカルEC』という考え方です。

 『ローカルEC』が目指すものは、域内における還流です。

①地元の人が地元のお店を応援する(地元のお店で購入する)➡②地元のお店の納税が増える➡③増収により市民サービスがさらに充実する➡①へ

 その結果、おカネやモノの流れとあわせて、地域経済の活性化や社会的交流の促進に繋がります。また、地元のスーパーや商店は、店頭で販売するモノと、ネットで販売するモノを変化させることで、ネットを活用したオリジナル商品や他の商店とのコラボ商品の提案をすることも考えられます。

 例えば、トーカイ薬局の管理栄養士による健康レシピの情報提供を受け、スーパーは、そのレシピにもとづいた旬な野菜の提供を行うというコラボレーションが実現します。さらに、栄養価を高めたい場合は、薬剤師によるオリジナルサプリの提案も可能です。このような取り組みにより、薬局とスーパーのDX化に繋がっていきます。このような組み合わせは、参加する商店が増えれば増えるほど広がっていきます。まさに、オンライン・マルシェの登場です。

 「Tajimingo」の特徴は、地域に徹底的に寄り添ったモデルの創出であり、具体的には以下のようなシーンが想定されます。

  1. 名古屋に通勤しているお父さん、お母さんが「Tajimingo」で買い物をすることで、JR多治見駅に据え付けられている専用ロッカーで商品をピックアップすることができます。
  2. 重たいものを運べない方のために、地元の運送会社が自宅までお届けします。お薬から生活用品や食料品までまとめて届けてくれます。
  3. 地元の有名なお店の商品やお弁当を店頭で並ぶことなく自宅まで届けてくれます。

 ローカルECの議論がされ始めつつありますが、国内において具体的に稼働している事例はあまり多くはありません。一方で、多治見市周辺の市におきましても、市民の高齢化、過疎化が広がることで人口が減少し、スーパーや商店の撤退や廃業により、買い物難民化はますます顕在化してまいります。そんな中、市民の生活と商店の営業を守る仕組みがローカルECの考え方です。まだまだ、チャレンジは始まったばかりですが、このコンセプトに共感いただけましたら嬉しい限りです。

 買い物難民やコロナ渦のネガティブな生活を、是非「Tajimingo」でポジティブに転換していければと思います。

取締役 牧野 春彦