柔らか頭で進化し続ける名アスリート
ダルビッシュ有

 現在もコロナウィルス感染の第3波を迎えてコロナウィルスが猛威を振るっていますが、コロナウィルス感染者が発症したとされる日から1年が過ぎました。
 スポーツ界も無観客試合が続き、選手のモチベーションが上がらない中、MLBで日本人初の最多勝を獲得したシカゴ・カブスのダルビッシュ有選手を今回の題材とします。
 ダルビッシュ有は、1986年8月16日、大阪府羽曳野市で、イラン出身のダルビッシュ・ファルサと日本人女性の間に3人兄弟の長男として生まれました。地元の野球チームで野球を始め、2002年に東北高等学校に入学し、甲子園で活躍をします。2005年に高校を卒業し、日本ハムファイターズに入団しています。
 ダルビッシュは、ファイターズ入団後、1年目で5勝、2年+目から12、15、16、15、12、18勝を上げ、日本では無敵の活躍をし、2012年、ポスティングシステムで、MLBのテキサス・レンジャーズに入団しています。
 ダルビッシュは、レンジャーズの1年目に16勝、2年目13勝、3年目10勝と順風でしたが、2015年に、右ひじ損傷で、トミージョン手術を受け全休します。2016年7勝、2017年レンジャーズで6勝した後、ワールドシリーズ要員で、ドジャースにトレード移籍し、そこでも活躍をして、ドジャースをワールドシリーズに導きました。しかしワールドシリーズでめった打ちを喰らい、戦犯扱いされてしまいます。FAで2018年シカゴ・カブスに移籍したものの、右ひじの故障が再発し、2018年は1勝、2019年は6勝と低迷しましたが、2020年、最多勝を上げ、復活を遂げています。
 因みに、ダルビッシュが打ち込まれた2017年のワールドシリーズでチャンピオンになったアストロズがスパイ行為を働いていたことが後になって判明し、アストロズのGM、監督が辞任に追い込まれています。
 MLB、NPBの野球界は、“投げた、打った、勝った”の時代から、動作解析システム「スタットキャスト」を導入し、あらゆるプレーが数値化できるようになりました。投手でいうと、ボールの回転軸、変化量、速度の計測を行い、収集した映像データと照合しながらボールの握りや手首の角度、リリースポイント等を注視した、理想の軌道を生む投球動作を追求するようになっています。ダルビッシュも、御多分にもれず、理想の投球動作を追求し、フォームの再現性を高めるため、スタットキャストで研究しています。
 ダルビッシュは、“努力はウソをつかない、練習はウソをつかないと言うけど、方法を間違えたら、簡単に裏切られる”と言っています。例えば、走り込みについては、筋力を落としたり、疲労を溜めるほどの異常な走り込みはやめて、30m程度の短距離走を繰り返し行うという投手が投球に役立つトレーニングを取り入れています。また、ボールを常に持ち、ボールを握った写真をすぐに撮って保存したり、夜寝る時に思いついたことをすぐにメモをとるようにしているようです。
 ドジャース時代の同僚の前田健太は、ダルビッシュについて、球速があり、11種類の変化球を駆使しながらも、様々な人の話に耳を傾け、色々と試行する姿に進化を感じとっていたようです。
 ダルビッシュは、その人の考えを理解する為、一旦、その人の信者になりきるというスタンスを取るようです。例えば、子供とキャッチボールをした時、その子供の投げる球に興味をもったら、球の握り、軌道をマネして同じように変化させようと努力するようです。
 経営者の方々は、日々、様々な経営努力をされていると思います。ダルビッシュの“努力の方法を間違っていないかどうかを検証すること”と、色々なことを研究するだけでなく、他人の意見を聞き入れる柔軟な“柔らか頭”は、今後、経営者の方々が進化し続けるのには大切なことではないでしょうか。
 進化し続けるために、弊社プレジデントワンは、AIを駆使したデータサイエンス、AIサポートサービスを行っています。ご興味のある方は、ご相談ください。


加藤 博司