結果を出す仕組みを構築し、
実行力を発揮した名リーダー 橋下徹

 コロナウイルス感染により社会的活動に出口が見えない状況のなかで、企業の経営者・従業員の方々ともに毎日、不安な状態でお過ごしかと思われます。政府と地方自治体との思惑がくい違い、コロナウイルス感染者のピークアウトの時期が未だ読めない状況となっています。
 この問題について、具体的な提言を出している2008(平成20)年~2015(平成27)年に大阪府知事と大阪市長を務めた橋下徹を題材とします。
 橋下徹は、1969(昭和44)年、東京都渋谷区に生まれ、1980(昭和55)年に大阪府吹田市に引越し、翌年に大阪府東淀川区に転居しています。大阪市、大阪市以外の大阪府に住んでいた経験が、後の大阪都構想へと影響していったと思われます。
 小・中学校は地元の公立学校に通い、大阪府立北野高等学校に入学、一浪した後に、早稲田大学政治経済学部に入学し、1994(平成6)年、同大学を卒業した年に、司法試験に合格しています。
 1998(平成10)年に橋下綜合法律事務所を設立し、法律事務所としては、珍しい飛込営業などを行ってクライアントを集めました。その活動が注目を浴び、2003(平成15)年、日本テレビの『行列のできる法律相談所』にレギュラー出演し、全国的に有名になっていきます。2008(平成20)年1月、大阪府知事に当選し、2011(平成23)年、大阪都構想の実現の為、任期を残しながらも大阪都知事を辞職し、大阪市長に当選します。2014(平成26)年の出直し選挙でも再選しています。しかし2015(平成27)年、大阪都構想の賛否を問う住民投票では否決され、その年12月に政界から引退し、現在は、弁護士として活躍しています。
 経営者の方のなかには、リーダーとして自信のない方もいらっしゃると思われます。ここではリーダーの役割について橋下の考え方等をご紹介させて頂きます。
 橋下は、リーダーの役割とは、ビジョンを示すとともに、それを実行させるための組織体制を作ることとしています。プロジェクト・チームを作り、その中で決定権者・権限者を決めています。
 意思決定と実行するのは別物と考え、プロジェクト・チームは、大胆な実行プランを決めるところまでが任務とし、決まったことを実行するのは、既存の担当部署であるため、プロジェクト・チームと担当部署との指揮命令系統を整備し、プロジェクト・チームの決定がしっかりと実行される組織内の仕組みを作ることとしています。
 橋下は、メリット・デメリットの両方がある提案が上がってきた時は、メリットとデメリットを比較して、比較的優位で、「よりまし」な方を選ばないと、最善の選択ができないとしています。日本の教育では、新しい案、一つの案の問題点だけをあげつらい、批判するという、偏った議論があちこちで見られ、堂々巡りの議論が続く傾向がありますが、これに歯止めをかけています。
 橋下は、組織に対して、「まずい情報こそ、先にあげてほしい」と言います。まずい情報を隠して自分を守ろうとするのがリーダートップとしての最悪の態度としています。また、二度と情報があがってこなくなることを警戒し、リーダーが「現場で対応しろ。と言ってはいけない」と言っています。
 橋下は、この世の中に一番、欠けているのは、実行プロセスを考えるという姿勢としています。例として、イギリスのEU離脱をあげ、イギリスがEU離脱の実行プラン(離脱案)がないまま、2016年にいきなり国民投票をして、EU離脱を選択しましたが、2020年の現状でも、EU離脱できない状況にあることです。
 橋下の政策・提言には賛否に分かれることがありますが、彼の実行力には、定評があるようです。
 経営者の方々も、リーマンショック、東日本大震災、コロナウイルス等、続々と経営判断を要する問題が噴出しています。橋下の考え方は、このような問題を解決するのに参考になるのではないでしょうか。
 弊社プレジデントワンは、経営者を教育する『経営者教育』のカリキュラムを設けています。ご興味のある方は、ご連絡下さい。


加藤 博司