ASEANの物流拠点を目指すカンボジア

 カンボジアは、地理的に東南アジアの物流拠点として適していると言われています。 バンコクからプノンペン、ホーチミン市の3都市を結ぶルート(約920km)は、「大メコン圏 (Greater Mekon Subregion: GMS)」の大動脈ともいえる最も重要な経済回廊であると位置付けられています(JICAカンボジア事務所, 2014)。2019年、カンボジア政府は、輸送インフラの質を強化することにより、ASEAN、特にベトナムとタイ間の商品倉庫と商品輸送のための地域の物流拠点にするという計画を発表しました(Construction Property, 2019)。

 日系企業も、カンボジアのポテンシャルを念頭に、新たな事業展開を進めています。例えば、イオンモール(カンボジア)です。同社は、最近カンボジアにおける海外物流の拠点となる国内初の多機能物流センター事業を展開することを決定しました。同社のホームページによれば、この事業を発展させるために、子会社が設立されます。

 カンボジア政府は、持続可能な経済成長のための方策として、後背地に位置するシハヌークビル港経済特区を自由貿易港として統合し、JICAの技術支援を得ながら、日本政府とシアヌークビル自治港と協力して国内最大の貨物貿易取引を行っていくようすすめています。

 多機能物流センターにはカンボジア初の保税倉庫が整備され、輸入業者は通関手続きを行う前に関税を支払うことなく海外から運んできた製品を保管できます。 企業は一定期間そこに大量の商品を保管し、必要に応じて商品を引き取り、その時点で該当する関税を支払うことができます (Nikkei Asia/Khmer Times, 2022)。

 シハヌークビル港経済特区では、保税倉庫機能や通関代理店、フルフィルメントセンター機能など、国境を越えたEコマース事業に必要なライセンスを備えた多機能物流センターを設置・運営するということです。これらの取り組みを通じて、さまざまな事業にビジネスチャンスとサービスを提供し、保税倉庫や通関手続きなどの物流問題を解決することで、カンボジアのさらなる発展に貢献していくと期待されています。

 この動きに合わせ、日本企業のカンボジアへの進出や貿易量が増加すると予測されます。また、ビジネスチャンスの可能性もあり、今後の展開に注目されます。

出所

(出所) https://www.jica.go.jp/cambodia/office/information/investment/ku57pq00001vjq3m-att/material_seminar_201711_01.pdf

出所

(出所)https://www.aeonmallcambodia.com/2022/01/11/new-initiatives-in-the-kingdom-of-cambodia/

株式会社ANCジャパン
執行役員 カンボジア・ベトナム担当
リム・リーホン