ビジネス書を経営に活かし、事業拡大を成し遂げた名経営者 星野佳路

 7月も半ばにさしかかり、あと1ヵ月程で夏休み(お盆休み)で、旅行の計画を立てられている経営者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。最近では、高級旅館、ホテルに宿泊される方も多くなっているようです。その高級旅館、ホテルと言えば必ず名前がでてくる星野リゾート。今回は、その星野リゾートの4代目社長 星野佳路を題材とします。 星野佳路は、1960年(昭和35年)4月、長野県北佐久郡軽井沢町に、3代目 嘉助の長男として生まれ、1979年(昭和54年)慶應義塾大学に入学し、1983年(昭和58年)に卒業しています。大学時代は、趣味のアイスホッケーに打ち込んで、勉学に励んでいたとはいえない状態でした。その後、アメリカのコーネル大学ホテル経営大学院で学び、アメリカのオークラニッコーホテルマネジメントに現地採用された後、父 嘉助に呼び戻されて、1991年(平成3年)、星野リゾートの4代目社長に就任しています。
星野リゾートは、星野が社長就任当時、軽井沢だけで事業を営む中小企業でした。星野は、アメリカのビジネススクールで教えた教授陣が書いたビジネス書を参考に経営に活かしていっています。
星野は、ビジネススクールの教授陣が書いたビジネス書は、「ビジネスを科学する」という思想の下、数多くの企業を対象に手間と時間をかけて事例を調査し、そこから法則を見つけ出し、理論として体系化しているという観点から経営の定石と捉えており、経営判断のブレをなくす為、ビジネス書を活用しています。
星野は、ビジネス書通りに判断したにも関わらず成果がでない時でも、最初の一歩としては正しく、そこから戦術を調整すれば良いと考え、自分の直感は信じず、愚直にビジネス書を活かした経営を推進していきました。 一例として、スカンジナビア航空の社長を努めたヤン・カールソンの著書で、世界的にロングセラーとなった『真実の瞬間』を基に経営に活かしています。
『真実の瞬間』は、スタッフがお客様と接する時間は平均15秒に過ぎないが、その回数は膨大で、数え切れないほどの「真実の瞬間」が繰り返され、その対応力によって、企業に対するお客様の評価は決まっていく。という理論です。星野は、現場スタッフの判断の質こそが、会社全体に対するお客様の評価を決めると確信し、スタッフの対応力向上に本格的に取り組みました。 星野は、「真実の瞬間」の対応力を上げるには、スタッフが自分で考えて動く体制が不可欠と考え、様々な経営情報をスタッフに対して積極的に公開し、自由なコミュニケーションを大切にして、スタッフがポジションに関わらず自分の意見を述べることを推奨し、組織を徹底的にフラットに切り替えました。また、スタッフの裁量を明確にして、そのとき自分が必要だと判断したサービスを自由にできるようにして、サービスの内容や範囲は現場の判断に任せるようにしています。
この取り組みにより、星野リゾートは、「真実の瞬間」の質を引き上げることで他社との差別化を図り、軽井沢の一事業ではなく、北海道から九州まで全国で高級旅館、ホテルを営むようになり、他社からも運営を依頼されるようになっています。
SNSが発展した今日、「真実の瞬間」は、サービス業ではなく、様々な業種で重要性が高まっています。
上記は一例で、星野は、ケースバイケースで、色々なビジネス書を活用して、自分で咀嚼し、従業員に説明し、巻き込んで、経営を行っています。星野のように従業員を巻き込んで、経営革新を実行することが難しい場合、当初は、外部に依頼することも良いかも知れません。 弊社 プレジデントワンは、人材育成をサポートする『人財サプリ』、採用をサポートする『採用サプリ』のアプリケーション、研修等を通じて、人事面をサポートする事業を行っています。ご関心のある方は、ご相談下さい。

 加藤 博司