数値化して夢を具現化した名経営者 孫 正義

 2018年12月、ソフトバンクグループの通信子会社ソフトバンクが、東京証券取引所に1部上場し、2兆6千億円の資金を調達するというビッグニュースが入ってきました。今回は、そのソフトバンクグループの孫正義を題材とします。
 孫は、1957年(昭和32年)、佐賀県に生まれています。父親の三憲は、パチンコ業等で成功し、裕福な幼少期を過ごしています。1973年(昭和48年)久留米大学附設高校に入学したが、坂本龍馬に憧れ、1974年(昭和49年)に久留米大学附設高校を中退し、アメリカのホーリー・ネームズ・カレッジに入学し、1977年(昭和52年)カリフォルニア大学のバークレー校に入学し、音声機能付き電子翻訳機を開発してシャープに売り込み、その資金で、アメリカにソフト開発会社 ユニオンワールドを設立、1980年(昭和55年)カリフォルニア大学バークレー校を卒業して、拠点を日本に移し、日本ソフトバンクを設立しています。
 孫は、1990年(平成2年)ソフトバンクに社名変更し、ヤフー株式会社を設立。ADSL接続サービスのヤフーBBの提供をし、経営の軸足を通信事業にシフトしていき、大成功をおさめました。2004年(平成16年)、M&Aで、NPBのプロ野球球団 福岡ソフトバンクホークスのオーナーに就任してから一気に知名度が高まり、その後は、兆単位の資金を動かす経営者として、世界中から注目を集めています。
 孫は、『賢いばかりじゃだめなんです。愚直なまでに掘り下げていかないと、男は大きくならない』という言葉を発しています。その言葉をあらわすエピソードとして、ホーリー・ネームズ・カレッジからカリフォルニア大学のバークレー校への編入試験の時、テスト用紙を見て問題量の多さに愕然とした孫でしたが、試験官に辞書の使用と試験時間の延長を申し出、通常3時までの試験時間を11時までに延長してもらい、見事、編入試験を合格しています。
 孫は、事業には厳しいところを見せる事が多いのですが、人には寛容です。NPBで活躍をしていた野村克也氏は、「NPB12球団でどこの監督に迎えられたいですか。」という質問に、孫正義の人間性で、福岡ソフトバンクと回答しています。
 孫は、数値化することを常としており、数値化し辛い案件でも、プロセスを細分化したり、あたりを付けて(予想をして)数値化をしようと努力します。アメリカのボーダフォン株式会社等の買収で兆単位の資金が動くときも、判断基準として70%の見通しが立つ場合に決断をくだすようです。
 私たちのクライアントにも、判断基準が難しい案件があるようですが、孫正義のように数値化して判断することは、経営者として肝要なことではないでしょうか。
 孫の最終目標は、300年存続する会社に仕立てていくことのようです。そんな孫をもってしても事業承継に頭を悩ませているようで、一度は後継者に譲りましたが、また自身、経営者に戻っています。
 弊社プレジデントワンは、新税制にも対応して、事業承継を推進しております。このコラムを読んで、ご興味のある方は、ご連絡ください。

加藤 博司