データを活用し、未来を起点とした発想の仮説で
成功をおさめた名経営者 鈴木敏文

 

 IoT・AI・ビッグデータの時代と叫ばれている今日この頃ですが、今から35年程前、コンビニのセブン-イレブンにPOSシステムを導入し、POSから得た情報をマーケティングに活用した経営者 鈴木敏文を今回の題材とします。
 鈴木は、1932年(昭和7年)、長野県埴科郡坂城町に生まれ、1952年(昭和27年)長野県立小県蚕業高等学校を卒業、1956年(昭和31年)、中央大学経済学部を卒業して、東京出版販売(現在のトーハン)に入社しました。東京出版販売では、広報課で、『新刊ニュース』という広報誌の編集を任され、誌面を大幅に刷新し、部数を26倍に伸ばす活躍をしました。しかし現状に飽き足らず、1963年(昭和38年)イトーヨーカ堂に転職し、1971年(昭和46年)イトーヨーカ堂取締役に就任しました。そしてセブン-イレブンを展開する米国サウスランド社と提携し、1973年(昭和48年)セブン-イレブンを創業しました。
 セブン-イレブン創業後の鈴木は、「あいていてよかった」のキャッチコピーでコンビニの24時間営業、コンビニ店舗でのおにぎり・おでん販売、POSシステムの全店導入、セブン銀行の設立、PB(プライベートブランド)商品の常識を覆したセブンプレミアムの販売、業界の常識を覆したセブンゴールド「金の食パン」の販売、ネットとリアルを融合させたオムニチャンネルのスタート 等、周囲の反対意見を押し切り、当時の常識を覆す革新的な事象を成功させていきました。
 鈴木は、ゴルフプレー時に、「アゲンストの風(逆風)のなかでも、ボールをきちっとスイートスポット(真っ芯)に当てれば、飛距離を伸ばすことができる」とし、「消費が飽和しているなかでも、お客様のニーズの本質を捉えれば、ヒット商品を生み出すことができる」としています。
 鈴木は、IoT・AI・ビッグデータの実世界のあらゆるものから、様々な機器を通しデータを収集して、コンピュータで分析し、価値のある情報を実世界の利用者にフィードバックするという考え方については同じと考え、誰に対してどんな価値を提供するのかという本質においては、この10年程、全く変わっていないとしています。収集されたデータをどこまでどのように活用できるかが肝要で、仮説を次々と生み出し、未来へと踏み出す役割を人間が担わなくてはならず、コンピュータが進化しても、人間を支援する機能であり、人間が中心であることに変わりがないと説いています。
 また、鈴木は、「真の競争相手は競合他社ではなく、絶えず変化するお客様のニーズである」とし、「こうありたい」、「こうあるべきだ」という「未来を起点とした発想」で仮説を立てるとしています。
 「未来を起点とした発想」を持ち、「お客様の立場で」考え抜く。目的が明確になれば、それを達成する手段として、いろいろな知恵や新しいアイデアが浮かび、それが本当の意味での仕事をするということだと考えています。
 鈴木は、学術的に統計データをとり、納得性を高める為の統計学を学び、インタビューやアンケート調査を行う時、回答する側が誘導によって心理的な影響を受けないように質問の内容やヒアリングの仕方に十分配慮する必要があると考え、それには心理学の知識が不可欠とし、心理学も学んでいたようです。
 統計学、心理学というと敷居が高く感じますが、最近は、初歩的な書籍、テキストもありますので、是非、学んで、経営に役立ててはいかがですか。以前とは仕事の取組み、発想が変わるのではないでしょうか。
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加藤 博司