未来を読むために歴史を学び、時代の潮流を掴んだ名投資家 ジム・ロジャーズ

 新型コロナウイルスの脅威に連日、晒されている今日ですが、こうした中でも経済活動は行われ、経済指標は過去最悪でありながらも株価は、5月10日現在、主要国では回復基調となる矛盾した現象が起きています。今回は、過去のリーマンショック、中国の台頭、トランプ大統領の当選等、歴史的な出来事を予想したジム・ロジャーズを題材とします。
 ジム・ロジャーズは、1942年に、アメリカのアラバマ州に生まれました。1964年、イエール大学を卒業した年に、イギリスのオックスフォード大学に留学し、1966年に卒業して、アメリカに帰国しています。1968年からは、見習いアナリストとして、ウォール街で働き始めました。1970年、投資銀行Arnhold & S.Bleichroederに入社し、そこで、伝説の投資家ジョージ・ソロスと出会います。1973年、ソロスと共に、クォンタム・ファンドを設立しました。クォンタム・ファンドは10年の間に3365%という驚異的なリターン(ダウ平均株価は20%)をもたらしています。しかし1980年、スタッフの増強問題で、ソロスと袂を分かち、クォンタム・ファンドを去っています。その後は、仕事を引退し、コロンビア大学の客員教授などを行いながら、1980年代は、中国各地をオートバイで旅行し、1990年~1992年には、オートバイで世界六大陸を走破しています。1999年~2002年に、自動車で世界116カ国を走破し、その後の投資業に役立てています。その結果、ジム・ロジャーズは、2007年に、中国が台頭することを見越して、家族とともにニューヨークから華僑圏のシンガポールに移住しています。
 ジム・ロジャーズの考える大きなものとして、【① 未来を読むために、歴史に学ぶ】【② 世界を旅し、変化を肌で感じとる】という考え方があります。

【① 未来を読むために、歴史に学ぶ】
 ジム・ロジャーズは、作家マーク・トウェインの言葉の「歴史は韻を踏む」を引用し、『世界の出来事のほとんどは、以前にも起きている。全く同じ出来事ではないが、戦争、飢餓、不況、外国人迫害、貿易問題、移民問題、これらの問題は、形を変えて何度も起きている』そうした事から『リーマンショックが、2008年から遡ること80年前にニューヨークのウォール街で株価が暴落し、1929年からの世界大恐慌に波及した状況と極めて似ている』と述べています。
 今回の新型コロナウイルスは、1918年~1920年に、世界各国で、推計1,700万人~5,000万人の死者を出したといわれるスペイン風邪が流行した時の状況に似ているようです。この時、日本でも、当時の人口5,500万人に対し2,380万人が感染し、38万人の死者を出しています。

【② 世界を旅し、変化を肌で感じとる】
 ジム・ロジャーズは、『自分の目で世界を見て回ることも大切。そこに潜む可能性を肌で感じたからです。テレビ雑誌、インターネットで得られた知識や情報に頼ってはいけない』と言っています。また『変化に適応できない人は、変化に吹き飛ばされるだろう』とも言っています。変化を的確に捉え、適応し、自身で感じ、集めた情報で成功を手にしてきたロジャーズはアメリカのロシアへの経済制裁をロシアのチャンスと見ていることです。ロシアは、経済制裁により食料を自由に輸入することができないが、自国で作物を育てることにより、ロシアの農業が成長していることを捉えています。

 今後の日本は、阪神・淡路大震災、リーマンショック、東日本大震災、各地集中豪雨、今回の新型コロナウイルス感染等、様々な天災、人災が過去より短い期間で襲ってくることが考えられます。
 ジム・ロジャーズが言うように、“歴史は韻を踏む”、“物事は変化する”ということを念頭に入れ、小さな変化にも目を向けて、大きな変化を掴む努力をしていく必要があるようです。
 経営者の方々も、今後は、自身の業界だけではなく、社会の潮流を鑑みて、人員・投資等の事業計画等立案していくことが肝要となるのではないでしょうか。
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加藤 博司