はたらく理由

 先日、20代・30代の働く男女1,000人を対象にした「はたらく理由」について、転職サービス「doda」とオリコン・リサーチ社が共同で調査した結果が発表されました。


 上位3つはいずれも「お金のため」という回答で、全体の8割以上(83.8%)を占めています。その中でも、全体の半数以上を占める1位の「生きていくため」という回答では、回答理由に、経済的な自立や将来への不安が挙げられています。この結果から、いまの20代・30代は、まず生きるため、そしてプライベートを充実させるために働いていることがわかります。
 しかし実際は、「はたらく理由=お金」とはいいきれません。新卒入社3年以内に離職した人に対する、ある調査では、次のような結果が出ています。1位「自身の希望と業務内容のミスマッチ(37.9%)」、2位「待遇や福利厚生に対する不満(33.0%)」、3位「キャリア形成が望めない(31.5%)」。若手人材の多くが、就職するにあたって自身の希望する職種でキャリアを積むことを重視していることが伺えます。「はたらく理由」ではなく「はたらく意味」、「労働」ではなく「仕事」とは何かを考えたとき、「お金」は最低限の条件であり、仕事に対しても「充実感」を求めていることが考えられます。

二十代の頃より10倍金持ちになったという六十代の人間を見つけることは簡単だ。
だが、そのうちのだれもが10倍幸せになったとは言わないはずだ。

アイルランドの劇作家 バーナード・ショー


 また、「はたらく理由」の調査で、「やりがい・好きな仕事だから」と回答している人は3.5%しかいません。自分がやりたいことがわかっている人は、非常に少ないことがわかります。「離職理由」の調査で1位の「自身の希望と業務内容のミスマッチ」も、「何か思っていたのと違う」程度の安易な考え方の人も多くいることが推測できます。好きだから、やりたいことだからやっているというより、真剣に取り組んで手応えを感じることができるようになったからこそ面白く、好きになり、やりがいも生まれるのではないでしょうか。


 わたしたちは、常に限りあるヒューマンリソースをいかに活用するかを考えています。


落合 真人