DX:進めたいのに進めない理由 Vol.4 危機感

 2021年10月11日(デジタルの日)、独立行政法人情報処理推進機構(IPA)より、日米企業のDX動向についての比較調査結果として「DX白書2021」が発刊されました。日本企業とアメリカ企業を徹底的に比較しつつ、日本企業のDXの推進具合や課題などが示されています。危機感を抱くためにも、ぜひ目を通していただきたい内容ですが、非常にボリュームがあるため、一部だけ抜粋して説明したいと思います。

 外部環境変化に対するビジネスへの影響についての回答を見ると、すべての項目について米国企業のほうが「非常に強い影響があり、ビジネスを変革させ最優先で影響に対応している」という回答割合が多く、中でも「パンデミック」と「技術の発展」に対して日米の差が大きく表れています。


 人材について、企業変革を推進するリーダーにあるべきマインドおよびスキルについての回答を見ると、日本企業では「リーダーシップ」、「実行力」、「コミュニケーション能力」、「戦略的思考」が高く、米国企業は、「顧客志向」が最も高く、「業績志向」、「変化志向」、「テクノロジーリテラシー」の順で重視されています。さらに日米企業間で差が大きいのは「実行力」と「テクノロジーリテラシー」となっています。

 これら2つの結果を考察してみると、米国企業では企業の外部、日本企業では企業の内部に意識が向いていることが伺えます。ここでは触れていませんが、その他の調査結果を眺めてみても、IT人材を含め、圧倒的に変革に適応した人材が不足しているのが日本企業です。あらためて問われたとき、はじめて人材不足など企業内部の課題に気づくのではないでしょうか。「DX白書2021」からは、日本企業の環境の変化に対する感度の低さや危機感の薄さが伝わってきます。

 いつの時代も、変革をもたらすのは、“よそ者、馬鹿者、若者”と言われます。優秀な外国人IT技術者の登用により、社内のDXの流れを加速させることができるのではないかと考えます。日本企業は企業内部の課題を早急に片付けて、外部に目を遣る必要があるのではないでしょうか。

 わたしたちは、常に環境変化へのアンテナを高くし、企業の皆さまへ情報を発信していきます。

落合 真人