「日本エリートはズレている」

 「世界で日本ビジネスの存在感が減退するワケ」(出所:東洋経済オンライン・福田 恵介)という記事を目にしました。「日本エリートはズレている」といいます。これは、今に始まったことではありません。思い当たることばかりです。まず、『日本の駐在員自らが、「われわれは東京の本社ばかり見て、昼夜、日本人とばかり食事している。現地での人脈づくりはできていない」』。日本人は、世界のどこでもそうだろうと思います。日本人は、現地の人々と交わろうとしません。自ら現地に乗り込んだ人は別にして、特に、企業から派遣された駐在員は、そのような傾向が強いようにみえます。彼らは、自ら望んで海外に来たわけでもないので、「仕方なく」、現地で働いている人が多いようです。日本にいるときと同じように、日本のやり方で、仕事をし、生活をしています。せっかく、海外に来たのだから、その国の文化に触れてみようという精神が弱いのです。海外の知人からは、週末に、現地の人に食事の誘いを受けても、日本人は、まず来ないと、よく聞きます。どうしても、日本人の壁を超えられないのです。私たちは、グローバリゼーションの時代に生きていながら、単一の日本文化を携えて往来している「グローバリゼーション」なのです。
 「日本エリートはズレている」 (出所:道上尚史、角川新書)によれば、道上氏は「中韓の欠点だけ見て悦に入っているとすれば、厳しいのでなくて、甘いのだ。単純すぎる」。と指摘します。冒頭の、「駐在員が、東京の本社ばかり見て、日本人とばかり食事している。現地での人脈づくりはできていない」のは駐在員に問題があるのではなく、東京本社の意識の問題だと、福田氏は言います。つまり、日本人の指導者、エリートの意識の低さにあるのです。日本の製品は世界のどこの製品よりも優れている、日本人は優れているという思い上がりがあります。最近は、見苦しいほどのTV番組も目につきます。しかし、日本製品はもはや一流製品ではありません。製品が世界のあらゆる部品で出来ている時代であることが大きな理由です。メード・イン・ジャパンのブランドを掲げれば、一流だと思っている日本人は多いものです。海外の人にアンケートをとっても、決して、日本製品だけが優れている時代でないことがわかります。福田氏は指摘します。「日本企業に長所は多いが、他国との比較の習慣を持たず、世界に関心が向かないことが根本的な制約になっている。外からは、グローバル化に乗り遅れた”田舎のネズミ”に見えている」全く同感です。
 そろそろ、自分たちのズレを認識しなければ、日本は立ち行かなくなるのではないでしょうか。実は、長年にわたり、こうした危機感を共有した、知人と立ち上げたのがASEAN-NAGOYA CLUBでした。グローバルな経済活動には、相手国の文化を理解し、リスペクトする態度が不可欠です。相手国の人々に溶け込まない経済活動は、対立を生むだけです。こうした態度では、両国にとってWIN-WINというのはなかなか難しいのです。相手国との妥協点を探ることは、お互いの文化、価値観を知ることと同義なのです。日本製品はすぐれている、日本のやり方を学びなさいという、一方的なやり方では、通用しないのです。
 ちょうど、昨年来、インドネシアの経済産業事務次官とこのような対話を継続していました。今後の世界経済のあり方には、文化的な相互理解に裏付けられた経済取引の重要性について、一致点を見出し、3月15日に栄に日本とインドネシアの経済交流の拠点を開設することになりました。今後、インドネシアのみならず、ASEAN各国のビジネスハブセンター機能を高めていく予定です。
 また、4月より、インドネシア経済産業省、名古屋大学大学院国際開発研究科、名古屋大学大学院経済学研究科、愛知県、名古屋市、中日新聞、中部経済新聞の皆さんと国際間・産官学連携セミナーを開催することが決まりました(3月13日現在、愛知県、名古屋市、中日新聞は手続き中)。
 2017年10月17日にジャカルタで、ビジネスマッチングを開催いたします。4月から毎月一回、インドネシアの文化、価値観を学んだ上で、マッチングを行うことに特色があります。ASEAN展開にご関心があるかたは、ぜひ、ご参加いただければと存じます。

 詳しくはこちら。【 ASEAN-NAGOYA CLUB 】





代表取締役 松久 久也