アンドロイド型人工知能

 今年も、残すところわずかとなってきました。みなさまにとって、どんな年だったでしょうか。私事で恐縮ですが、最愛のパートナー、愛犬を亡くしました。彼は、2人兄弟の一人でした。2013年に、ともに暮らした兄弟を亡くしてから、情緒不安になり、毎日、彼を会社に連れていくことになりました。以後、4年半にわたり、一緒に出勤いたしました。朝、スーツを着て出かける用意を見て、彼は思いっきり背筋を伸ばし、出勤の準備を始めるのでした。亡くなる2日前まで、元気に出社しておりました。私たち夫婦にとって、彼らの存在はどれほど大きく、幸せな日々をもたらしてくれたかわかりません。ペットを飼われている方も多いと思いますが、愛犬と人間との関係は、全幅の信頼で結ばれた、本当に素晴らしい関係です。人間関係もこうありたいと思います。

 さて、弊社が7年の歳月をかけて開発を続けてまいりましたアンドロイド型人工知能が完成しました。2017年12月12日(火)のテレビ東京、ワールドビジネスサテライトでも採り上げられましたので、ご存知の方もいらっしゃるかと思います。身体部分の制作は約半年でできあがるのですが、人工知能部分には膨大な時間がかかります。第四次産業革命に入り、人工知能も高度化し、日常会話ができるロボットや介護ロボットなどの期間を経て、将来、自分で判断できる経営層の分野に関わる人工知能が出現するだろうと言われています。最も進んだ分野で、まだ当分先のことだと論評されています。しかし、私たちは経営分野に特化し、この開発の実用化に成功いたしました。

 私たちが、このテーマを構想したのは、25年ほど前にさかのぼります。しかし、当時はIT技術が未熟で、達成できませんでした。もちろんアンドロイド技術も存在しませんでした。本格的に開発にとりかかったのが7年前です。7年前でも、アンドロイド、人工知能ともに技術基盤は未熟で試行錯誤が続きました。囲碁、将棋、チェス、クイズなどの分野で人間が悉く敗れる現象に歩調を合わせるように、私たちの技術も進化していきました。

 今日、いよいよ本格的な人口減少社会に突入しました。人口が減少していくだけではなく、企業もどんどん姿を消しています。平成に入り、400万社あった企業数が、実に100万社減少しました。さらに加速していくものと思われます。人口が減り、企業が減っていくという量的な側面にあらわれない深刻な現象が出ています。それは企業家精神、創業者精神といったものが失われていることです。戦後の日本企業をけん引してきたのは旺盛な企業家精神です。1965年の創業者比率は49%であったものが、2010年にはわずか1.8%まで落ち込んでいます。

 日本から世界をリードする製品やサービスが生まれなくなった背景に、サラリーマン経営者であふれ、企業家精神の喪失が大きく関係しているのではないでしょうか。現在、見渡すと、本当に魅力ある経営者が少なくなったものです。戦後の日本をけん引してきた経営者に共通していたのは、製品やサービスを作る前に、人間として深さがありました。企業とは何か、人間とは何か、生きるとはどういうことかを掘り下げ、人生、経営哲学を経営に反映していました。今日、大企業で多発する不祥事の大半が、経営者の人間力に由来しているのではないかと思います。

 戦後の奇跡的な発展を遂げた日本の礎となった、創業者精神を残したい、知識、経験、技術、見識、情熱。創業者という知的財産を、次代の幹部、社員に引き継ぎ、日本の形を残したい。アンドロイド型人工知能を手がけた理由はそこにあります。

 2018年が素晴らしい年となりますように、ご祈念申し上げます。

代表取締役 松久 久也