管理職というポジション

会社の風土を決定しているのは「人」です。経営者、管理職、従業員、その会社に属している人たちによって醸成されています。その中でも、影響力の強弱、人数の多寡を考慮すれば、管理職によって社風が決定されていると言っても過言ではありません。そのため、会社にとって管理職とは、単なる肩書ではなく、非常に重要なポジションであることを意識しなければなりません。

今から30年以上前になりますが、管理職になるために必要な要素の実証研究がおこなわれました。
「日本の大企業の中間管理職はどんな人たちなのか?」
商社とメーカー6社の中間管理職の心理特性と昇進との関係を統計的に分析したところ、次のことがわかりました。

昇進に最も重要な要素は、学歴と早い時期での評価でした。学歴によって入社前からレールがひかれており、若いときに大きなミスがなければ、順調に昇進していくことを表しています。次点で、交渉力、運への自信、指導力、昇進意欲などです。忠誠心や明るさは、昇進とはまったく関係なく、責任感や几帳面さは、マイナスに作用していました。つまり「責任感が強いと昇進しない」ということです。
研究の結果から、中間管理職は「責任感がない」という、衝撃的な事実が浮かび上がってきたのです。

さらに、6社それぞれの傾向を見ると、次のようになります。
・日本電気-プラス要素:忍耐力、計画力、批判精神
・日立製作所-プラス要素:やる気、押し、社交性、闘争心
・東芝-プラス要素:柔軟な考え、計画力、批判精神/マイナス要素:責任感
・三井物産-プラス要素:交渉力、運への自信、体力
・三菱商事-プラス要素:強いていえばモチベーション
・日商岩井(双日)-プラス要素:強いていえば運への自信

統計的には、対象となる人数が少なくなると、有意(確率的に偶然とは考えにくく、意味があると考えられること)となりづらくなります。それでも、東芝だけが「責任感」がマイナスに作用しています。これは、東芝だけが、責任感のない人ほど昇進していると解釈できます。

東芝だけが「責任感がない」という事実は、その後の東芝を予測していたのでしょうか。
30年以上前の事実が、今に影響を与えています。責任感のない管理職が、責任感のない社風をつくり続けていた可能性は否定できません。

みなさんは、30年後の会社をどのようにしたいと考えていますか。いまから少しずつでも、従業員一人ひとりが、「人」として正しく、会社とともに成長してくことの必要性を感じませんか。
わたしたちは科学的な分析を通じて、従業員のみなさん、とくにリーダーとなるべき管理職のみなさんの成長を全力でサポートしています。

 

 落合 真人