これまでの20年、これからの20年

 テクノロジーの急速な進化は、ビジネス環境を大きく変えてしまいます。
これまでの20年、オフィスではPCが一人一台提供され、インターネットが当たり前の存在になり、様々なアプリケーションやシステムを利用することで、業務の効率が向上してきました。電卓で計算していたものがExcelで自動的に計算され、郵送やFAXで送っていた資料もメールで即座に相手に届けることができます。20年前と比較すると、多くの作業が効率的におこなえるようになっています。

 このような大きな変化は生産性にどのように影響しているのでしょうか。
 日本と米国の一人あたりの実質GDPの成長率を比較してみると、この20年間(1998年~2017年)で、日本17.6%、米国18.1%となり、日本の生産年齢人口の減少を考えると、大きな違いはないように見えます。一方で、日本生産性本部が今年4月に発表した「産業別労働生産性水準の国際比較」の調査結果からは、2015年の米国の労働生産性水準を100とすると、日本の労働生産性水準は、製造業全体で67.4、サービス業全体で50.7となり、1997年からその差は拡大しているという残念な数字が計測されています。サービスの「質」を考慮した場合でも、日本の生産性水準が1割程度上昇したものの、それだけで日米間の差を説明はできなかったようです。しかし、専門・科学技術、業務支援サービス業では1997年の43.3から2015年の54.4まで改善しています。これらの産業は情報処理技術など最新の技術の取り入れが相対的に進んでいる産業と考えられ、生産性向上に向けた重要なヒントとなるのではないでしょうか。
 これからの20年、これまでの20年を凌駕する劇的な変化が「第四次産業革命」により起こります。IoT・ビッグデータ・人工知能、これまで人間がおこなっていたデータのインプット、アウトプットが人間を介さずおこなえるようになったとき、人間の役割はどうなるのでしょうか。これまでは、使えると便利な道具としてのテクノロジーで、使う人間が必要でした。これからは、自律的に判断し意思決定までしてしまうテクノロジーです。数値化される指標はすべて人工知能がマネジメントし、表現は悪いですが、人間は使われる側に回ります。これまで以上にテクノロジーとの共存を意識しなければ、企業も個人も、多様化するグローバルな社会から弾き飛ばされてしまいます。

 わたしたちは、20年後の未来を見つめて、企業の持続的な成長をサポートしています。


落合 真人