2025年問題

 「2025年問題」とは、団塊の世代が2025年頃までに後期高齢者(75歳以上)に達する事により、介護・医療費などの社会保障費急増が懸念されている問題です。厚生労働省の推計によりますと、2025年の医療保険給付は総額54兆円と、現在より12兆円以上増える見通しだそうです。この額は徐々に衰えゆく現在の日本の国力で賄える額ではありません。このような状況は我が国一般的な状況です。
 では、経営者に絞って見てみましょう。現在、中小企業の経営者で最も多い年齢が66歳です。男性の平均年齢は80.98歳、健康寿命は平均72.14歳です。つまり、最も多い経営層は66歳であり、統計的に、6年後には病気、認知症、要介護などの不健康期間に突入します。 そのような状態を9年間続けたのちに、人生を全うしていくということです。 これはあくまでも一般論です。 しかし、その影響は国内の経済に対し、膨大な影響を与えます。 今後10年の間に、70歳(平均引退年齢)を超える中小企業・小規模事業者の経営者は約245万人となり、うち約半数の127万人(日本企業全体の約3割)で後継者が決まっていません。この現状を放置すると、中小企業廃業の急増により2025年頃までの10年間の累計で約650万人の雇用と約22兆円のGDPが失われる可能性があると推定されております。しかも、廃業すると予測される企業の3割超は黒字企業です。 前述しました通り、社会保障費は青天井に増加の一途を続け、一方で税収は減収し続けるという、大変厳しい現実が待っております。
 このような状況を少しでも緩和することができるように、現在60歳を超えている経営者は、今すぐに事業承継の検討に入る必要があります。政府は事業承継の促進をはかるために、平成30年に10年間限定の特例措置を用意しました。また、M&Aのマーケットでは、小規模のM&Aを促進するために、WEB等でマッチングサービスを行う「TRANBI」というサービスがリリースされ注目を集めております。一般的に、M&Aは難しいとか、わが社は対象にならないだろうとか、マッチングフィーが高いなどの要因で躊躇されがちですが、「TRANBI」は、これらのハードルを極めて低くしています。 その結果、譲渡先は企業に限らず、ビジネスマンのスタートアップとして活用される事例もあります。
 事業承継は、経営権や株式を承継するという手続き的な要素だけではありません。本当に大事なことは、経営理念、組織、人材、社内外からの信用など、見えない資産を承継するということです。それらの承継には膨大な時間と努力を必要とします。経営理念も組織も人材も信用もすべて人に関係します。
 弊社の代表の著書に、「確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす」があります。
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 取締役 牧野 春彦