人的資本経営 Ⅱ

 先々月の6月号でも「人的資本経営」についてニュースコラムを投稿しました。その後、経営者の方々や経営幹部の方々との対話を重ねる度に、「人的資本経営」の考え方は中小企業にこそ必要であり、企業競争力を高めていくためにも取り組んでいかなければならないと痛感しております。

 前号の繰り返しにはなりますが、企業の市場価値の構成要素や競争力の源泉が有形資産(モノ・カネ)から無形資産(ヒト)へと移行する中で、「人的資本経営」への取り組みが注目されています。

 

 経済産業省は、「企業が事業環境の変化に対応しながら、持続的に企業価値を高めていくためには、事業ポートフォリオの変化を見据えた人材ポートフォリオの構築やイノベーションや付加価値を生み出す人材の確保・育成、組織の構築など、経営戦略と適合的な人材戦略が重要となります。」と述べています。

 また、下のグラフは2022年3月にパーソル総合研究所が実施した「人的資本開示に関する実施調査」の内容であり、人的資本情報のマネジメントの実体グラフです。その内容を要約しますと、 

  1. ① 経営戦略に連動した人材戦略の策定ができている:59%
  2. ② 人的資本情報が設定できている:46%
  3. ③ 人的情報を指標化(KPI化)できている:35%
  4. ④ 人的資本情報のデータが蓄積できている:38%
  5. ⑤ 人的資本情報を活用するツールが導入されている:30%
  6. ⑥ 人的資本情報をモニタリングできている:30%

 この調査は上場企業の役員層・人事部長によるものですが、冒頭に述べました通り、中小企業こそ、このような人的資本におけるマネジメントが浸透していかなければならないと考えます。そのためには、まず1つでもいいので、人的資本に関連するKPIの設定からはじめてみませんか。例えば、「離職率」でもいいのです。まずは離職率をKPIにします。離職率の目標値を設定し、現状とのギャップを埋めるためのアクションプランを用意し、実行していかなければなりません。また、定期的にモニタリングを行うことで、アクションプランの見直しを行います。そのような非財務指標に真剣に向き合うことで、結果的に離職率が下がったならば、それに連動して財務指標も改善していく筈です。経営環境が厳しく、人材採用が難しい中小企業だからこそ、あきらめずにこのような取り組みを浸透させていきたいと考えております。

 

 人的資本経営の導入や、組織と人事に課題を悩んでいる経営者様、是非、弊社へご相談ください。 また、経営者自身の右腕(NO.2)創りや、営業力強化プロジェクトのご案内もあわせてご覧ください。

 

取締役 牧野 春彦