Q.あなたはハシゴの何段目にいますか?

 みなさんは「世界幸福度ランキング」をご存知ですか?
 「世界幸福度ランキング」とは、毎年各国1000名ほどの人々に主観的幸福感を調査するための質問「キャントリルの階梯」に答えてもらい、その回答を平均化した数値をランキングしたものです。「キャントリルの階梯」の内容は次のとおりです。みなさんは何段目にいるのでしょうか?

ハシゴを想像してみてください。
ハシゴの各段には数字が振ってあり、ハシゴを上るにつれて数字は大きくなっていきます。
最下段は“0”で、最上段は“10”です。
最上段はあなたにとって“最高の人生”で、最下段は“最低の人生”です。
今現在、あなたはハシゴの何段目に立っていると思いますか?

 最新の2019年度版のランキングでは、1位は2年続けてフィンランド、2位デンマーク、3位ノルウェーと、北欧諸国が上位を占め、日本は、58位となっています。1位のフィンランドとの差はおよそ階段2段分です。日本は物質的に豊かで経済大国と呼ばれる国です。生活水準も高く、治安も良い、健康寿命も長く、ブルームバーグが発表した「世界で最も健康な国ランキング2019」では4位となっており、日本の客観的な状況と比して、日本国民の主観的な幸福度の低さが目を引きます。

 近年、人間の幸福度(happiness;well-being)を指標化する試みが国際的に広がっています。「世界幸福度ランキング」が発表される3月20日は「国際幸福デー(International Day of Happiness)」です。2012年に国連が「幸福(happiness)と持続的幸福(well-being)を、世界中の人間の生活における普遍的な目標と願望として認識し、公共政策の目標におけるそれらの認識の重要性を認識すること。」と宣言しました。

 日本では、「働き方改革」が叫ばれ、生産性を高めていくことが重要視されています。そのためにどうすればよいか、頭を抱える経営者も多くいるでしょう。生産性を高めるためには、「社員が幸せであること」だとしたら、みなさんはどう思いますか。

 「“成功すれば幸せ”なのではなく、“幸せだと成功する”」。心理学者のショーン・エイカー氏の言葉です。これまでの社会は、「幸せ」を感じることができない社会でした。多くの企業や学校で教えているのは「頑張れば成功できる、成功すれば幸せになれる」ということです。しかし、実際は、成功するたびに脳は成功を再定義します。良い成績が取れれば、「もっと良い成績を取れれば成功」、販売目標を達成できたら、「更に高い販売目標を達成できたら成功」。このように、「成功すれば幸せになれる」と考えた結果、常に、幸せを感じるための成功を一歩先に設定し続けてしまうのです。
 数多くの調査から、ネガティブな状態にある脳よりも、ポジティブな状態にある脳のほうがずっとよく機能することが明らかになっています。ネガティブやニュートラルな脳ではなく、ポジティブな脳で「幸せだ」と感じながら活動することが、これからの社会、企業に属する正しい人のあり方ではないでしょうか。
 わたしたちは、企業と企業に属する従業員の幸福を実現するためのお手伝いをおこなっています。


落合 真人