社員を幸せにする経営 - 続き -

 先月に続き、社員を幸せにする経営についてお話をしたいと思います。米国最大の調査会社であるギャラップ社では「12の質問」で社員幸福度を測定しています。たった、12の質問で何がわかるのかと疑問に思われる方も多いかと思いますので、実際の質問内容を見てみましょう。

Q1 :職場で自分が何を期待されているのかを知っている
Q2 :仕事をうまく行うために必要な材料や道具を与えられている
Q3 :職場で最も得意なことをする機会を毎日与えられている
Q4 :この7日間のうちに、よい仕事をしたと認められたり、褒められたりした
Q5 :上司または職場の誰かが、自分をひとりの人間として気にかけてくれているようだ
Q6 :職場の誰かが自分の成長を促してくれる
Q7 :職場で自分の意見が尊重されているようだ
Q8 :会社の使命や目的が、自分の仕事は重要だと感じさせてくれる
Q9 :職場の同僚が真剣に質の高い仕事をしようとしている
Q10:職場に親友がいる
Q11:この6カ月のうちに、職場の誰かが自分の進歩について話してくれた
Q12:この1年のうちに、仕事について学び、成長する機会があった

 いかがでしょうか? これは、「Q12(キュー・トゥエルブ)」といわれるもので、1300万人のビジネスパーソンを調査して導き出したものです。この結果、幸福度の高い社員はそうでない社員にくらべ創造性が3倍、労働生産性が1.3倍も高いことがわかっています。
 さらに、社員の幸せと深く関係している項目の1つに、「自由な裁量」があります。「自由な裁量」は社員の積極性を高めます。一方で、社員を自由にすると、仕事をせずに、さぼるのではないかという不安をいだくかもしれません。これについては、経営学者のダグラス・マクレガーの有名な「X理論とY理論」で答えることができます。  

X理論(性悪説)

  1. 社員は、生来怠け者で、できるならば仕事をしたくないと思っている。
  2. 社員は、強制されたり、統制されたり、あるいは命令されたり、処罰を与えないと十分な力を発揮しない。
  3. 社員は、命令される方が好きで、責任を回避したがり、あまり野心は持たず、まず何よりも安全を望んでいる。
 

Y理論(性善説)

  1. 社員は、本来仕事が好きで、条件さえ整えばそれは遊びと同じである。
  2. 社員は、自ら進んで設定した目標のためなら、積極的に動く。
  3. 社員は、条件次第では自ら進んで責任を取ろうとするし、創意工夫をこらす能力はたいていの人に備わっている。
 X理論とY理論、どちらが正しいでしょうか。
 答えは、経営者のあなた次第ということです。人には相手の期待を的確に把握する能力があり、それに応えようとします。
 経営者であるあなたが、社員は怠け者で、無責任だと思って接すれば、社員はそのように振舞い、逆に、社員には能力があり、積極的に仕事に取り組むのだと信頼すれば、社員はその信頼に応えようとします。

 社員を幸せにすることは、経営者次第であり、それを実現する具体的な手法もわかってきております。是非、ワクワクする組織形成を目指してください。


取締役 牧野 春彦