静かな時間が必要な現代人
新元号になって、はや3カ月。新しい明るい時代が到来したとは思えない出来事ばかりのようです。地球環境は悪化の一途を辿り、命の危険を伴う酷暑、豪雨、地震など頻発。世界に目を向ければ米中覇権闘争、日韓闘争は激しさを増し、北朝鮮は混沌、日露領土問題は後退。イギリスの迷走は続く。国内に目を転じれば、純粋な心の持ち主、京都アニメーションの多数の社員の皆さんが、狂気の一人によって命を奪われ、企業の不祥事は相次ぎ、中高年は引きこもり、企業も個人もやるせない。隣の国では、大統領自ら、「二度と日本に負けない。勝利の歴史を作る」と宣言し、帝国主義の時代の真っただ中にいるような、時代錯誤の精神で国民の支持率を得ようとしています。自分は正しいというメンタルブロックの精神が世界を跋扈しています。独善的な政治や人生にはとうてい豊かな未来はありません。
どうもどちらをみても、ネガティブな話題ばかり。状況だけみれば、世界中がうつに冒されているという状況かもしれません。利己的で、感情的で、制御が効かなくなっていないかと心配されている方も多いのではないでしょうか。とても人々の心がダーティになっています。企業も社会も狭量な人たちの集団になり、いかに心を開くのかというテーマが、いま重要になっています。
私たちがサポートしている留学生にこんな方がいます。毎日、就寝前に30分、仏さまにお祈りをしているといいます。もう一人も毎日毎日、一日を反省し、仏さまに祈りを捧げるといいます。仏さまとつながることによって、力が湧いてくるといいます。一人は母国に帰り英語学校を創設し、もう一人は国際弁護士として世界の地球環境問題に取り組んでいきたいといいます。日頃の喧騒を離れ、夜静かな時間を仏さまと「対話」することで謙虚になれるといいます。実は、筆者も就寝前と起床直後に神前に手を合わせ感謝の気持ちを、表しています。ここ数十年欠かしたことはありません。今日一日最善を尽くす、今日の最善に感謝の念を「伝える」。こうすることで、とかく謙虚さを失いがちな日々の生活に折り目をつけることができるものです。
神仏に祈りを捧げるだけではなく、出会う人々すべてに(善人だけではなく悪人にも)感謝の念を伝えることは、人間の成長にとってとても有益なことです。
「あなたの周囲の人に感謝を伝えよう。時間を取って「ありがとう」を伝えることで、自分がいかに恵まれているかあらためて実感できるだろうし、言われる相手との関係維持にも効果てきめんだ。私からの提言は、あなたを支えてくれた人々を訪ねて、感謝を伝えることだ。マーティン・セリグマンの研究によれば、感謝を目的とした訪問は、自らの幸福感を増すとともに、その過程で他者をも幸せにする最も効果的な方法の一つだという。メールだっていい。感謝を示すことは友情をいっそう深め、その後の満足な関係を促すことが調査でも示されている」。(エリック・バーガー)
いま、我々にもっとも欠けているのは、謙虚さです。私たちはスマホ、ネットの情報洪水に襲われ、自分の現在位置を見失っています。「溺れそうな」自分を救い出すためには、まずは、謙虚なこころで、確かな知識を学び体験を積み重ねていくことが大切です。
ときには、スマホやネットから離れ、つながらない自分を見つめる時間が必要です。酷暑の夏を、涼しげなところで、涼しげな人生を送ることで、人間性を取り戻すのもよいかもしれません。
「毎日、たったひとりで、静かにくつろぐ時間を30分だけ生み出そう」。(デール・カーネギー)
代表取締役 松久 久也