グレート・リセット

 新型コロナの影響が長期化し、需要低迷や売上減少が続いています。そのような企業を対象に、経済産業省は事業の再構築を支援する目的で、「事業再構築補助金」を施行し、企業の新分野展開・事業転換・業種転換・業態転換、又は事業再編という思い切った事業再構築を推進しています。

 一次募集は当初4月30日締め切りでしたが、事務局側の混乱もあり5月7日まで延長されました。GW前後で対応に追われた企業も多かったのではないでしょうか。一方で、一次募集には間に合わなかったものの、7月初旬の二次募集に向け準備をし始めている企業もあると思います。

 時は同じく、当初5月に開催される予定でした世界経済フォーラム(ダボス会議)は、コロナの影響で7月に再延期されることとなりました。今回のテーマは「グレート・リセット」です。このテーマに決まった背景には、新型コロナ感染拡大の影響を受け、経済成長・公的債務・雇用・人間の幸福に深刻な影響を及ぼし、さらに、気候変動や格差の拡大といった社会問題が危機的状況にあることが挙げられています。これらの危機からより良い世界を取り戻すためには、その場しのぎの措置ではなく、まったく新しい経済社会システムを構築しなければならないという考えを表明しています。国家レベルにおいても、企業レベルにおいても、新しいシステムの構築が必要とされています。

 コロナの影響で、労働力の自動化へのシフトが加速し、2025年までに、15の産業と26の国で8,500万人の雇用が失われる可能性があると指摘されています。一方で、第4次産業革命により、2025年までに9,700万人以上の新たな雇用が生まれると考えられています。これらの情報が指し示す背景には、何もしなければ衰退、何かにチャレンジすることで復活の可能性があるということです。まさしく、事業再構築であり、グレート・リセットが必要なのです。そして、グレート・リセットを推し進める際に、日本に江戸時代からある『三方良し』の精神が重要なヒントになるかもしれないと、世界経済フォーラムの創設者であるクラウス・シュワブ氏も示唆しています。

 大きな時代の転換点に立たされている我々には何ができるのか。失われた30年とそろそろ決別し、新たな仕組みと価値観を創造することができる好機と捉え、自社の事業モデル・組織・商品・サービスを刷新するためにも、「事業再構築補助金」に果敢にトライされることをお勧めいたします。


取締役 牧野 春彦