おもてなし規格認証とデータサイエンス
経済産業省は、日本全体のサービス産業の底上げを目指し、質の高いサービス を適切に評価する仕組みとして、『おもてなし規格認証2017』がスタートしました。
我が国のサービス産業は、今やGDPの3/4 を占め、経済全体に与える影響が非常に高くなってきております。アベノミクスの成長戦略目標である「戦後最大のGDP600兆円」の達成には、サービス産業の生産性向上と、稼げるサービス産業の創出が必要不可欠とされております。しかしながら、サービス産業はその提供する「サービス」について、目に見えない「無形性」や生産と消費の「同時性」といった特性を有することから、必ずしも質に見合った付加価値がとれておらず、これがサービス産業の生産性の停滞に繋がっているといった指摘があります。 このため、サービス産業による付加価値創出を促し、日本全体のサービス産業の底上げ・生産性向上を図るためには、質の高いサービスとそれにふさわしい評価がなされることが重要であり、この制度が創出されました。また、2020年東京オリンピックに向け、世界に対し、日本のサービス産業の質の高さを発信し、サービス産業の輸出推進に繋げていかなければなりません。
『おもてなし規格認証』の対象業種は、直接顧客と接するサービス業だけに限らず、提供する製品を製造する製造業など、全産業が対象になります。また、当規格の品質向上のために、以下の4つのプロセスが重要であるとしています。
① 「お客さま」の期待を元に、共に価値を創ること
② 「従業員」の意欲と能力を引き出すこと
③ 地域・社会と共生していくこと
④ 継続・発展していくこと
『おもてなし規格認証』は、30のチェック項目が設定されており、自己審査及び外部審査により、4段階のレベルが設定されています。チェック項目を塗りつぶす毎に、認定レベルをグレードアップされる仕組みです。
ここで考えなければならないことがあります。それは、『おもてなし規格認証』の取得は、あくまでもプロセスであり、ゴールではないということです。『おもてなし規格認証』を動機付けとし、結果的には、生産性向上や付加価値の創出を実現できなければなりません。また、結果の判定には、売上や利益という直接的なゴールと、ブランディングや従業員の意識の向上という間接的なゴールが存在します。それらを定量的または定性的に測定しなければ、判定することはできないのです。企業は、おもてなしを向上させるためのアクションプランに対し、その結果得られる、定量データと定性データを収集し、それらのデータを元に定点観測することで、アクションプランの成功率を引き上げていくことができます。結果的に、『おもてなし規格認証』のグレードを上げながら、生産性や付加価値の創出に繋がるモデルを形成することが可能となります。
弊社は、経営にデータサイエンスを活用する取組を推進しております。
詳細は『おもてなし規格認証2017』のパンフレットでご確認ください。
取締役 牧野 春彦