自社のNew Normalは何か
安倍首相が辞意を表明しました。評価は後年定まっていきますが、7年8カ月もの間、途方もないストレスの中でよく頑張ってこられたと思います。といいますのは、安倍首相と同じ潰瘍性大腸炎という難病を長年患ってきた家内を見てきたからです。痛みなど症状は人によって異なりますが、難病であり本当に大変な病気です。そんな難病を抱えながら、しかも一期目の挫折を乗り越え、二期目の役割をこなしていかれたのは想像を絶することです。私たちは微かな体の異常でも判断が狂うものです。ましてや難病を抱えながら一国の首相を7年8カ月も「全うした」というのは奇跡に近いことです。とくに国際舞台での振る舞いは安心して見ることができました。前政権で国際的信用が地に堕ちたこととは対照的に、国際社会であれほどプレゼンスを発揮した過去の首相を知りません。
さて、新型コロナとの「つきあい」もずいぶん長くなりました。連日、感染者100名、200名と報道されても鈍感になってきた人が多いように思います。しかし、季節性インフルエンザの致死率が0.1%以下であるのに対して、新型コロナの致死率が8月3日時点で2.6%と、3%前後で推移していること、また4000万人の命を奪ったスペイン風邪の致死率が2%程度だったことを考えれば、怖い疫病であることに疑いはありません。
新型コロナが表面化してすでに8カ月が過ぎましたが、社会は様変わりしました。7割経済といわれる経済活動になり、3割が消失しました。しかし、消失したのかと考えると物事はそう単純ではなさそうです。新型コロナが終息すれば10割に戻るかといえば、戻ると考える人は少数のように見えます。物的に成熟した日本の人々が必要とする需要を満たすのには7割でやっていけるのではないのか。後の3割は「無理やり需要」ではなかったのか、つまり、先進国の経済は、過剰経済ではなかったのかという思いがよぎります。
先進国が飽くなき物的豊かさを求めて「無理やり3割」を長年にわたり続けてきた結果、地球温暖化をもたらしました。気象庁が「暴風警報が出たら、逃げられる最後のチャンスだと意識し、…逃げて下さい」と真顔で報道しなければならないほど巨大化した台風をむかえなければならない時代になったということではないのかと思うのです。社会の仕組みを再構築しなければ、途方もない災害を乗り越えることができないところまできたというのが現実ではないでしょうか。地球を傷つけない経済モデルにいかに舵を切るか。New Normalの時代にふさわしいNew Norm(新しい基準)を経営者一人ひとりがつくらなければならなくなりました。さぁ、あなたにはどんなNormが用意されているのでしょうか。
代表取締役 松久 久也