エンゲージメントと定着率と利益
近年、「従業員満足度」にかわり、「従業員エンゲージメント」が重視され始めています。エンゲージメント(engagement)とは、日本語で表現すると、従業員の会社に対する信頼、愛着、きずな、帰属意識といった意味合いになり、会社への愛着心、仕事への熱意を測る指標として利用されています。
先月、採用から従業員の定着率を高める方法について触れましたが、エンゲージメントも定着率に対し、重要な要素であることが分かっています。それは以下のように、海外のエンゲージメントに関する多くの調査結果からも明らかです。
・従業員数1万8千人にもなるアメリカの大手食品製造会社、Morrison Management Specialistsでは従業員エンゲージメントが2%増加するごとに離職率が1%減少した。
(出典: Engagement Leads to Growth at Morrison)
・エンゲージメントの低い従業員は高い従業員よりも4倍多く離職する。
(出典: Driving performance and retention through employee engagement. Corporate Leadership Council)
・グローバル企業59社、5万人以上の従業員を対象にした調査では、エンゲージメントの高い従業員のうち、66%は離職を考えず、実際に転職先を探しているのは3%であった。これに対し、エンゲージメントの低い従業員のうち、離職を考えていないのは12%で、31%が実際に転職先を探していた。
(出典: Driving performance and retention through employee engagement. Corporate Leadership Council)
・従業員のエンゲージメントのレベルが上がると、離職率が下がる。
(出典: Linking People Measures to Strategy. The Conference Board)
・エンゲージメントの高い従業員はエンゲージメントの低い従業員と比較して87%離職率が低い。
(出典: Driving performance and retention through employee engagement. Corporate Leadership Council)
・米調査会社大手ギャラップ社によると、23,910のビジネスユニットを対象にエンゲージメントスコアの上位と下位それぞれ25%を比較した研究では、下位25%では離職率が平均で31%-51%高かった。
(出典: Gallup Q12 Meta-Analysis, Gallup)
このように、エンゲージメントの高い従業員が増えると、従業員の定着率が高くなることが分かりました。また、エンゲージメントは、会社の売上や利益にも大きく影響しており、エンゲージメントが高いほど、利益も大きくなることが分かっています。
出典:「『エンゲージメントと企業業績』に関する研究結果」株式会社リンクアンドモチベーション
しかし、米ギャラップ社の調査によると、日本のエンゲージメントは、他国に比較すると非常に低い結果(最新の調査では、7%→6%)となっています。
出典:「State of the Global Workplace Report」米GALLUP社 2011-2012調査結果
9割以上の従業員が「やる気のない」状態であるのは、危機的な状況だとは思いませんか。あなたの会社は大丈夫でしょうか。まず、現状を「見える化」してみませんか。
わたしたちは、データサイエンスにより、最適な企業活動のサポートをしています。
落合 真人