話題作 『スマホ脳』を読む

 日本政府、各国政府が競い合って、DX戦略を推進しています。DX戦略に関連する企業のGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)は、世界の資産総額のかなりの資産を保有しており、情報も保有しています。そうした中、平均で一日4時間、10代の若者の2割が一日7時間も利用しているスマホの影響力を研究した『スマホ脳』を今回の題材とします。

 『スマホ脳』は、スウェーデンの精神科医であるアンデシュ・ハンセンの著作で、2019年にスウェーデンで発売されてベストセラーとなり、世界中で翻訳されました。日本でも2020年に発売されて、2021年のベストセラーになっています。

 『スマホ脳』の中で、脳の構造を、“脳は単に新しい情報だけを欲しいわけではない。新しい環境や出来事といったニュースも欲しがる。脳には新しいことだけに反応するドーパミンを産生する細胞がある。新しい情報、例えば新しい環境を渇望するドーパミン産生細胞が存在する。ということは、新しい情報を得ると脳は報酬をもらえる。”とし、「新しい場所に行ってみたい」、「新しい人に会ってみたい」、「新しいことを体験してみたい」という欲求があり、スマホが私たちの生活に入り込んでくる要因を解説しています。

 『スマホ脳』の中で、“SNSの開発者は、人間の報酬システムを詳しく研究し、脳が「新しい情報を得られるかもしれない」という不確かな結果を偏愛していることや、どの位の頻度が効果的なのかを、理解しており、時間を問わず、スマホを手に取りたくなるような、驚きの瞬間を創造する知能を持っている。”としてスマホが脳の構造を利用して、利用度合を増やしていると著しています。

 デジタル軍拡競争は日々激しさを増しており、アプリやスマホ、ゲームやSNSの作り手はメカニズムに更に磨きをかけ、数々の雑音を潜り抜けて、私たちの頭の中に入ってこようとし、私たちの注目を勝ち取るべく、脳のドーパミンのシステムをハッキングするのが、ますます上手になっていく。

 スマホと一緒にいる時間が長いほど気が散り、SNSを使い続けることで睡眠障害など精神状態が悪くなり、自信を失ったりする危険性があるようです。

 経営者の方々の会社の社員の方にも気づかぬうちにスマホ依存症になっているか方がいるかもしれません。一度チェックをしてみるのもいいかもしれません。

 スマホの影響はIT企業のトップも懸念していたようです。アップル社の創業者であるスティーブ・ジョブスは、自分の子供のスマホ使用には慎重になり、マイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツは、自分の子供が14歳になるまでスマホを持たせなかったようです。

 『スマホ脳』の中で、ほぼ全員が元気になれるコツとして、“睡眠を優先し、身体を動かし、社会的な関係を作り、適度なストレスに自分を曝し、スマホの利用を制限すること”といいます。今となってはスマホが必要不可欠となった利用方法の参考になるのではないでしょうか。

 私たちはスマホなどのデバイスを賢く使わなければならないし、使い方によってはデメリットがあることを理解して利用しなければなりません。

 弊社プレジデントワンは、経営者を教育する『経営者教育』のカリキュラムを設けています。ご興味のある方は、ご連絡ください。

加藤 博司