組織の潜在性
唐突ですが、私は、クライアントの経営者に、“御社の時間当たり付加価値額はいくらですか?” と質問することがあります。残念ながら、多くの経営者の方々が即答できるケースは少ないです。経営者は、今年の売上や営業利益の目標は即答できるのに、時間当たり付加価値についてはあまり知りません。
なぜ、会社全体の売上や利益は知っているのに、時間当たり付加価値を知らないのだろうか? 当然、社員数や年間稼働時間は、お大凡知っているはずなのに…。 これは、“時間当たり”という単位に対する意識が薄いからだと思われます。時間当たりの意識が低ければ、時間単位で生産性を改善しようという意識も低くなるのではないでしょうか。
日本生産性本部によると、2015年度の我が国の時間当たり労働生産性(一時間当たり付加価値額)は4,518円だそうです。リーマン・ショック以降順調に回復し、8年ぶりに過去最高を更新したそうです。安倍政権の政策効果の現れなのでしょうか。
確かに改善の兆しはあるようですが、世界に目を向けると、OECD加盟34カ国中で第20位です。その順位はギリシャよりも低く、付加価値額はアメリカの約半分といったところです。政府は、『働き方改革』により、生産性の向上と企業の成長、労働時間の短縮によるプライベートの充実の同時達成を実現すべく推進しております。
私は、生産性向上のためには、組織の潜在能力を活性化することが重要であると考えます。
人間の能力には、顕在能力と潜在能力があり、その比率は1:9と言われております。つまり、通常の仕事は僅か1割の能力により行われているということです。この眠った潜在能力を有効に活用することができたら、これまでの数倍の成果を発揮することができるのです。この潜在能力の活用は個人だけの話ではありません。組織でも同様であると考えられえます。組織が互いのミッションを理解し、ベクトルを合わせた状態で潜在能力を発揮することができたとしたら、とてつもない力を発揮することが可能となります。
弊社は、人財開発・組織活性のプログラムとして、データサイエンスを活用しております。
このデータサイエンスにより、企業の経営課題を優先順位付けして抽出します。その内容は企業全体の課題だけではなく、部署、職位、世代など、様々な切り口で抽出します。また、その課題を解決するために有効な手段も、データサイエンスにより提示します。その結果、企業は、その課題を解決するためにプロジェクトチームを組成し、課題を解決する手段について実行していくだけです。つまり、この課題を解決する手段が組織としての潜在能力を発揮することにつながるのです。
アメリカの付加価値に接近するために、政府の推進する『働き方改革』を実現するためにも、組織の潜在能力を活性化するプログラムに着手されてはいかがでしょうか。
取締役 牧野 春彦