2025年 大廃業時代の到来

 10月6日の日本経済新聞の一面に衝撃的な記事が載っていました。ご覧になった方も多いと思います。見出しは、『大廃業時代の足跡 中小「後継未定」127万社』というものです。記事の中身について数字を中心に要約してみたいと思います。

 2025年(あと8年)までに、経営者の6割以上(245万社)が70歳以上になり、その約半数(127万社)に後継者がいない。さらに、その半数(64万社)は黒字経営であるというのである。この結果、2025年までに65万人の雇用と22兆円の売上が喪失するというのだ。

 これは日本経済にとって途轍もないダメージとなる。赤字企業においては、社会の新陳代謝を促進するために廃業止む無しという見解もあるが、黒字企業においては、その事業や技術が国内から消滅するのである。巷ではM&Aが流行り、国も各商工会議所に事業引継ぎ支援センターを設置し、第三者承継を推進している。その結果、800件のマッチング実績と5年後には2千件の目標を設定していますが、127万件の後継者不在には遠く及びません。第三者承継も必要ですが、経営陣と従業員による株式買取(MEBO)をもっと積極的に活用していかなければなりません。
 あと8年の間に何ができるか、すべての企業が今すぐ真剣に考えなければなりません。

 これまで、本誌上において、何度も人口減少社会においては、労働生産性を上げなければならないといい続けてきました。しかし、それよりも急激に会社自体がなくなっていくのです。

 株主と従業員、雇用側と雇われ側という対局の立ち位置を乗り越えて、それぞれが、自分の会社を如何に持続させていくのか。従業員の資産形成を目的とした従来の従業員持ち株会制度に対し、経営への主体的参加を目的としたダイナミックな従業員持ち株会制度や、債務保証の緩和により、従業員が経営に参加しやすくなる環境を制度面からも整えていかなければなりません。一方で、企業自身は、“風通しのいい会社”を目指し、コミュニケーションを活性化し、お互いに協力し、信頼し合う会社を目指さなければなりません。その上で、エンゲージメントが強くなり、経営への参加意識が高まります。経営者はこれらを会社内に仕組んでいかなければなりません。もう一度、繰り返します。あと8年の間に何ができるか。今すぐ、会社内の課題を炙り出し、解決に向かわなければなりません。

 弊社は、統計解析に基づき、社内の課題を炙り出すツールを提供しております。上記のような課題を抱えている経営者様は是非お問い合わせください。


取締役 牧野 春彦