明確な目的意識

あけましておめでとうございます。
新たな年を迎えられました皆さま方に、心よりお慶びを申し上げます。

今回は、日本が抱えている大きな課題である人口減少社会を切り口として、働き方改革や労働生産性というキーワードを取り上げながら、「新たな年をスタートしていくにあたり大切にしていきたいこと」について皆さまと考えていきたいと思います。

2016年8月より安倍内閣がスタートした働き方改革では、深刻な労働力不足に直面している私たちの社会を見据え、「働き手を増やす」、「出生率の上昇」、そして「労働生産性を増やす」ことを解決策の糸口として見出し、三本の柱として、「長時間労働の解消」、「正社員と非正規社員の待遇格差の解消」、高齢者や女性、外国人の「就労促進」をあげています。この働き方改革に対する世間の見方は、同一労働同一賃金や残業の規制、有給休暇の取得向上という分かりやすいテーマに関する話題が多い状況です。一方で、私たちが本当の意味で腰を据えて改善していくべき労働参加率や労働生産性の向上といった分野については、多くの企業経営者は手探りの状況ではないでしょうか。

人口減少が進む日本社会において、私は労働生産性の向上こそが日本の未来を切りひらく鍵であると考えています。労働生産性は「付加価値÷労働投入量」で計算ができます。もう少し具体的にいうと、労働によって生み出された付加価値を労働者数や総労働時間で割ることで算出ができます。人口減少社会に直面する昨今、この値をあげていくために付加価値を増やしていくことこそが解決策の糸口となります(なお、付加価値は、総生産額や総売上額から原材料費や仕入れ、機械設備などの減価償却費用を差し引いた値で算出されます)。

一口に利益を増やしたいといっても漠然としており、地についた方針決定はできません。もう少し踏み込んで労働生産性を上げたいといっても、まだイメージが沸かないのではないでしょうか。例えば、「今のメンバーで、付加価値を増やしていきたい」と宣言をし、その付加価値について知恵を出し合いながら分解し、ともに向上策を考えていく。そんな具体的な作業が、チームのベクトルをあわせ、未来に向かう道筋を整えていくことにつながっていくものと考えています。

1928年に『思考は現実化する』を出版したナポレオン・ヒルは、「明確な目的意識」の重要性を幾度となく取り上げています。私たちも同じように、課題解決策や向かうべき方向を抽象的ではなく、明確に、具体的に考えながら、前へ前へと歩みを進めていきたいものです。

 

 加藤 滋樹