運のいい人

 コロナ感染が、第3波到来により再び大流行の兆候を見せ始めています。国内GDPもようやく上向き始めた矢先に、また暗雲が立ち込めつつあります。企業におきましては、年末までの雇用調整助成金の再延長の可能性を願いつつ、組織の見直しをせざる得ない状況が続いています。一方で、コロナ禍でも堅調な企業は、人材不足の好機ととらえ、積極的に人材採用に走っています。この状況はいつまで続くのでしょうか。企業経営者はどこに視点を向けて組織の在り方を描いて行けばよいのかとても悩むところであります。
 長期トレンドにおきましては、やはり労働力不足問題は根深く、特に、建設業においてはとても深刻な状況です。国土交通省は、340万人いる土木系の労働者が、今後10年間で120万人も減少すると発表しています。そして、その対策の一つとして、土木系の生産性を少なくとも2割上げると宣言し、20個の生産性革命プロジェクトを発表しています。特に、Society5.0の実現を目指し、新技術やデータを活用した次世代モビリティやスマートシティーの推進などの実現を目指しています。
 先日、このような革命に真正面から取り組んでいる企業がありましたのでご紹介いたします。この経営者は、「デジタルで業界を変革したい」と話されていました。そのために、AIとデータサイエンスに特化した専門会社を設立し、そこでは、バングラディッシュ、インド、カンボジア、ロシアの優秀なIT人材を束ねてシステム開発を進めております。
 今後のスケジュールも明快です。

              
Phase1 IT solution 社内のアナログデータをすべてデジタルに置き換える
Phase2 IoTに着手し、設備・機械・人間の行動データの収集
          →データ分析、生産性向上システムの開発
Phase3 上記システムの海外展開
PhaseX 宇宙事業への展開

 宇宙事業については、まだまだ先のテーマではありますが、今の内からできることは着手していくと話されていました。何故ならば、業界用語として、“生コン理論”というのがあるそうです。それは、“固まる前に手を付けなければ固まってしまう。”ということです。
 宇宙事業と言えば、スペースX社のイーロン・マスク氏を連想しましたが、決して大会社でない同社が、大真面目にその領域に取り組んでいると話されたときの、その経営者の目の輝きはとても素敵でした。このような会社が、必ず業界を変革するリーダーになっていくのだろうと確信に近いものを感じました。

 先日、こんな話を聞きました。“運のいい人というのは、悪い出来事のいい面を見る力がある人である。” コロナ禍という悪い出来事の中においても、必ずいい面(変革できるチャンス)があります。私は、その1つのキーワードとして、“デジタル”を上げます。前述しました経営者のように、“デジタルデータ”を収集し分析することで気づくことは沢山あります。このような考え方をすることができる経営者は、きっと様々なアイデアにより企業変革を進めているものと思います。このような姿勢が、結果的に“運のよい人”になるのではないでしょうか。
 『出来事のいい面×デジタル』の発想で御社にも変革のチャンスはあります。
 弊社は、ITとデータサイエンスで経営課題の解決をサポートしております。チャレンジしたい経営者の方は、是非ご相談ください。


取締役 牧野 春彦