仕事の教科書
残暑は続いているものの、朝夕は秋の風が心地よく感じるようになりました。暑い夏とともに東京オリンピック・パラリンピックの聖火が消えました。様々な論争と課題を残したまま、大会は終了しました。今大会の直接経費は1兆6440億円と公表されておりますが、間接経費を含めればさらに天文学的な数字になるといわれています。これほどのお金をかけなければオリパラは開催できないことを私たちは知りました。コロナ感染の影響で無観客開催となった結果、チケット収入の900億円が水の泡と化し、様々な行動制限により経済効果はほとんどなかったのではないでしょうか。是非、東京都とJOCには収支決算とその意味合いの分析を国民に示していただきたいものです。またしても、多額の債務と国民の信用が失墜してしまいました。その結果、政局にも大きな影響をあたえ、菅総理の退任という事態に発展しました。さらに、新政府への期待感の高まりにより、日経平均株価は5カ月ぶりに30,000円台に回復したとのことです。経済ニュースでは速報で伝えているものの、実体経済としての高揚感を感じることができません。ポストコロナを商機と捉え急成長している企業があるものの、大半の企業は収益改善の糸口が見つけられずに、疲弊しきっています。
コロナ対応の長期化により、資金繰りの問題だけではなく、経営者自身のモチベーションに大きな影を落としております。“この停滞状態がいつまで続くのか?” “いつになったら再始動をかけることができるのか?” 暗中模索の状態が続いているように感じます。
このような時は、思考を変えて、いっそのこと、じっくりと腹を据えて、本質を追求する絶好の機会ととらえてみてはいかがでしょうか。 現在、ベストセラーとなっています「1日1話、読めば心が熱くなる365人の仕事の教科書」を読まれることをお勧めいたします。様々な時代の様々な経験をされた著名な方々の体験や思考が365日分書かれております。毎日のカレンダーに合わせて1つずつ読み、その思考に触れることで新たな気付きを感じることができます。
例えば、この原稿を書いている9月9日は『戦死した二人の兄の教え』というタイトルで、書家の相田みつをさんの文章があります。“(中略)あんちゃんが、「みつをなあ、お前も来年は最上級学生だな。最上級学生になると、下級生を殴る、という話を、俺は聞いたが、おまえだけは下級生を殴るような、そういう上級生にならないでくれ」「無抵抗なものをいじめる人間なんていうのは、人間として最低のクズだぞ」(中略)”。誌面の都合でごく一部の文章しかご紹介することができませんが、いのちの詩人といわれる相田みつをさんの“コトバたち”は、このような体験から創造されたものです。私たちは、書籍によって、著者の方々の人生を疑似体験することで思考のトレーニングを行い、その背景にある深さを理解することがとても大切であると思います。この書籍によって、著名な365人の体験や思想に触れることができます。
経営者は、止まったときは、覚悟を決め、新たな進化の道を探すことが必要です。そのヒントは、以外にもこの書籍に書かれている非日常の世界にあるように思います。
取締役 牧野 春彦