新たな経営指標

 明けましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。

 私も50歳を過ぎたあたりから年末の厳かさ、年始の爽やかさを強く感じるようになりました。年齢を重ねる毎に1年1年の重さをとても強く感じるようになりました。お正月に「幕末相棒伝」という時代劇ドラマを見ました。瑛太が演じる坂本龍馬と向井理が演じる土方歳三のコンビネーションをとても楽しく見させていただきました。一方で、その時代背景は大政奉還を中心に描かれていました。大政奉還の年は1867年で私の生まれた僅か100年前にこのような大事件が起こっていたことを改めて再認識しました。大政奉還から日本は近代国家の道をひた走り、経済的に豊かになったものの、一方では、人間らしさやその心は貧しくなったともいわれています。企業は成長することが難しくなってきており、その成長の指標に、“人的資本”という指標に入れ替える必要があると指摘されています。

 2022年1月3日の日本経済新聞に以下のような記事がありました。

 タイトル:成長の未来図(2)「心の資本」は十分ですか

 実証実験では「心の資本」と呼ぶ指標が平均33%向上した。米ネブラスカ大のフレッド・ルーサンス名誉教授らが編み出した指標で「自信を持つ」「楽観的に考える」など複数の要素を数値化する。指数の33%向上は営業利益の10%ほどの押し上げに相当する。

(中略)

「テイラーシステム」とも呼ばれる手法の導入で製造業の生産性は飛躍的な改善を遂げた。しかし経済の主役がモノからアイデアやノウハウといった「知」に移るにつれ従来のやり方では成長の実現が困難になった。典型が20世紀の製造業の競争で優位に立っていた日本だ。モノづくりの現場が中国など新興国に移る中、「知」の競争に対応できる企業システムの構築に出遅れた。

(中略)

 熱意を持って仕事をする社員は5%。米ギャラップの調査で日本は世界の最低水準に沈む。30%を超える米国、20%前後の北欧諸国を大幅に下回る。「考える力」が問われる時代に社員が仕事に情熱を持てない状況では企業の成長は望めない。

 私も、今年はさらに、“人的資本”を伸ばす企業サポートに注力していきたいと考えております。多様であることがノーマルであり、そもそも何のためにビジネスを行うのか。企業中心から地球中心の環境的思考。消費者だけでなく従業員にも優しい企業の在り方。これらを考え実現することができるのは人間です。このような価値観の人を育て、そのような人たちが集まる組織を創ることが、これからの企業経営には最も重要になるのではないかと考えます。

 パーソル研究所の研究によりますと、社員の幸福感と売上は完全に相関があるといいます。大政奉還から155年が経過した2022年、そろそろ新たな指標を企業経営に持ち込み、真剣にその指標を磨き上げていくべきであると考えます。

 弊社、代表の松久久也の著書「確実に利益を上げる会社は人を資産とみなす」も大変参考になると思いますので、ご紹介させていただきます。

取締役 牧野 春彦