中部経済新聞に掲載されました
着眼大局 着手小局 経営に求められる人間力 第11回

【着眼大局 着手小局】経営に求められる人間力
第11回
生産性向上のためのヒントは
今までの常識を疑ってみる

 「生産性」とはそもそもなんでしょうか。皆さまは「生産性向上」という言葉をどのようにお使いでしょうか。今回は少し長期の視点で、生産性向上に向けた解決策を皆さま方とともに考えていきたいと存じます。
 一つ目は、長期コストを考えることです。このコストには、直接的な経費のほかにも、時間や人的な資源も当然入ります。私たちは、目に見える支出といったコストに意識を向ける一方で、始めに少し高いコストを負担すると、結局は長期間で発生する全体コストが低く抑えられるということには、意識が向かないことが往々にしてあります。このように、長い目で見た全体的なコストについても意識を向けてはいかがでしょうか。
 二つ目は、環境を変えることです。中国・北宋時代の欧陽脩(おうよう・しゅう)という文学者は、ひらめきが生まれる場所を「三上(さんじょう)」ということばで言い表しました。三上とは、馬上(馬にのっているとき)、枕上(布団に横になっているとき)、厠上(トイレにいるとき)です。このことばのように、普段と違う環境にあるだけで、脳が刺激され、面白い発想が生まれてくることがあります。時には場所を変えてみるのもいかがでしょうか。デスクから離れてソファーで仕事をしてみる、ミーティングスペースにこもってみる、「オフィスから外にでてカフェなどで仕事するとはかどる」という人もよく聞きます。さらには、散歩をして外の空気を吸ったり、可能ならば短い昼寝をとってみたりするのはいかがでしょうか。また、普段夜型の人は、たまには朝早起きして仕事をスタートするのもよいかもしれません。
 最後に、逆説的ではありますが、「生産性を向上させなければ、これまでと同じ成果が出せない状況をつくり出す」ということも、有力な方法といえそうです。たとえば、本稿は、今まで夜に書いていましたが、どうしても時間がかかってしまいます。そこで、最近は朝、早起きして、子どもが起きるまでに書きあげるというように締め切りを区切り、時間をかけずに出稿できるように心がけています。
 長期コストを考えること、環境を変えること、そして生産性を向上させなければ同じ成果が出せない状況をつくりだすこと。いずれにも共通するのは今までの常識を疑ってみることです。新しいアイデアや何かを判断し、実行していくときには、少しだけ立ち止まり、俯瞰し、今までの常識を少し疑ってみる。このようなことを心がけてはいいかがでしょうか。

加藤 滋樹

 

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