M&Aを成功に導くPMI

先月の2月15日に、日本電産株式会社が代表取締役の異動および社長の交代を発表しました。日本電産といえば、永守重信氏が1973年に創業し、一代で巨大企業に創り上げてきたことで有名です。その経営能力の高さを評して、“平成を代表する経営者” と言われています。この、日本電産を急激に成長させた要因の1つが、M&Aです。永守会長には、永守流M&Aの3つの条件があります。
まず、第一の要因は、「価格」です。日本電産には永守式企業価値算定方式があり、これに合わないものは買わないという、オリジナルルールがあります。
第二の要因は、「アフターM&Aの重要性」です。アフターM&Aは、PMI(Post Merger Integrationの略。M&A成立後の統合プロセスを指す)とも言われ、M&Aを早期に確実に成功に導くために、M&A当事者である両社の戦略・販売体制・管理体制・従業員意識・情報システム等を有機的に機能させていくプロセスです。
そして、第三の要因は「シナジー」です。M&Aの買い手側にとっては、M&Aを成約させることが最終的な目的ではありません。成約後に企業の体制をしっかりと整えて、さらに事業や利益を拡大していくことが大きな目的となります。
以上、M&Aにおける3つの成功要因のうち、今回注目したいのが、PMIの項目である「従業員意識」です。そもそも、全く異なる経営者、経営戦略、外部環境、内部環境で活動してきた従業員の意識が異なることは当然です。それを合理的に且つ短期間で合わせていくことは並大抵ではありません。永守会長のようなカリスマ経営者が先頭に立ち、また、現場を訪れ、話し合いを行うことで、買収企業の意識改革を行うことは有名ですが、一般的にはなかなか難しいことではないでしょうか? 結果的に、PMI の失敗により、M&Aの効果を発揮することができないケースも散見されます。

そこで、ご案内したいのが、従業員意識を科学的なアプローチによる手法です。弊社のサービスに「データサイエンスを用いた人財育成サービス」があります。このサービスは、従業員のベクトルを合わせていくことから始めます。M&Aにおいては、もともと文化の異なる2社の統合ですから、ベクトルがあっていないことは必然です。そのベクトルをM&Aの最初の段階から「データサイエンスを用いた人財育成サービス」を導入することで、それぞれの組織の課題を科学的に抽出し、合理的に組織のデザインをしていくことで、最適な組織形成を実現することができます。

中小企業白書によりますと、M&Aにおける譲渡側経営者の最も希望することの中で、実に61.7%が従業員の雇用だそうです。この従業員の雇用というのは、新しい会社で、将来的に長く活躍し続けることを意味します。M&Aを成功に導くためにも、弊社のサービスをご検討してみてはいかがでしょうか。

取締役 牧野 春彦