中部経済新聞に掲載されました
着眼大局 着手小局 経営に求められる人間力 第18回

【着眼大局 着手小局】経営に求められる人間力
第18回
時間をどう使うか
「命の使い道」を考える

 「営業、仕事、人生、すべてにおいて重要なのは、時間をどう使うか考えるということ」
 ある浄土宗の和尚さんが仰っていました。
 「あなたは時間を上手に使っていますか?」と問われて、「はい」と答えられる人は、多くはいないのではないでしょうか。しかし、一方で、同じような時間の使い方をしているのに、学校の成績がよい、スポーツの上達が早い、仕事の覚えが早いという人がきっといたはずです。誰でも同じ条件にもかかわらず、他人よりも効率的で有意義な時間の使い方をしている人がいるのはなぜでしょうか。いったい、どこに秘密があるのでしょうか。それを決定づける理由のひとつである、時間の使い方について、重要だと思うことを三つ、考えていきたいと思います。
 一つ目は、「大切なことを行う」ということです。今、私たちが過ごそうとしている時間は、本当に私たちにとって大切なことなのか、ということです。今やろうとしていることが、自身にとって重要なのかということであり、他の誰かにとって重要だったとしても、私たちにとってはそうでないかもしれません。
 二つ目は、私たちがやろうとしていることが、「将来の自分にとって役に立つことか」どうかということも重要です。私たちの人生は今さえ良ければいいのではありません。
 三つ目は、時間管理という考え方です。アメリカの著名な経営学者であるスティーブン・リチャーズ・コヴィー博士は、著書『7つの習慣』の中の第三の習慣「優先事項を考える」の項目おいて、「時間管理という言葉そのものが間違っている。問題は時間を管理することではなく、自分自身を管理することだからだ」と述べています。逆説的な表現ではありますが、時間管理とはスケジュールを厳密にたてるということではありません。時間管理とは、自分にとって最も重要な事項を常に意識し、達成に向かっていくということです。忙しいときは、1日が30時間くらいあったらいいのに、と思うこともあります。しかし、1日は誰にとっても24時間です。時間を管理するということは、限られた時間の中で自分自身の行動を管理するということなのです。
 冒頭の和尚さんの問いかけである「時間をどう使うかを考える」ということ。それは、自分が将来を見据え、大切なことを考え、前に進んでいくということ。つまりは「私たちの命の使い道を考える」ということに他ならないのではないでしょうか。

加藤 滋樹

 

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