中部経済新聞に掲載されました
着眼大局 着手小局 経営に求められる人間力 第22回
先日、このような悩みを経営者との対話からお伺いしました。自発的、言い換えるならば前向きなモチベーションは、人が仕事に対して意欲的に取り組む原動力といえます。今回は、この自発性を促しモチベーションを上げていくための方法について考えてみたいと思います。
どんなに優れた能力や考え方があっても、仕事に対する熱意ややる気がなければ成果は低くなってしまいます。また、とくに昨今は経営者や管理職と若手との意識のギャップが目立ってきています。この点において、メディケア生命保険が研究した「若手と管理職の意識調査」では、モチベーションの源泉の違いについて大きな示唆を与えてくれています。
若手世代は、「事前の計画どおり業務を完遂すること」「就業時間内に業務を完遂すること」といった、業務のコントロールに関することや、「新しい知識・技能を身につけられること」「専門的な知識・技能を身につけられること」など、技術の習得に関する事項が管理職と比べて上位となっています。つまり、きちんとコントロールできる仕事や、自分自信のスキルアップに繋がる仕事にモチベーションが湧く傾向があります。
自分でコントロールすることやスキルアップにつながることについては、周囲とコミュニケーションを取りながら適切に目標を立てていき、実現のために創意工夫を重ねることが肝要です。逆に目標が実現不可能なほど困難であったり、成果が測定しづらく評価が難しかったりする場合などは、目標設定を行ってもモチベーションの低下につながり注意が必要です。
このリスクを回避し、目標を適切に設定する方法として「SMARTの原則」というものがあります。
①Specific(明確性)=目標の内容が、誰が読んでもわかるような明確で具体的ことばで 示されていること ②Measurable(計量性)=目標の達成度合いが評価できるように定量化されていること ③Achievable(現実性)=目標が現実的であり達成可能であること ④Relevant(関連性)=経営目標や理念と関連しており、組織やその先にある公の社会の利益に貢献できること ⑤Timely(適時性)=達成までに適切な時間があり、あまり遠すぎない期日であること
目標を自発的に設定し、自らの一歩で前に向かって進んでいくことは、モチベーションを維持するのに有効です。自発的な考えを促すリーダーの方々は、このSMARTの法則を参考にしながら、具体的なアドバイスを提供されてはいかがでしょうか。
加藤 滋樹