労働生産性

2018年の中小企業白書が7月3日に発表されました。それによりますと、2016年のOECD加盟諸国における我が国の労働生産性は35加盟国中第21位でOECD平均を下回っており、首位のアイルランドのおよそ半分程度の水準だそうです。
近年、人口減少が叫ばれる中、これまでも労働生産性の改善に取り組んできたはずの中小企業ですが、2006年から2015年の2時点間における生産性変化の散布図に、その実態がわかります。領域①の企業数の割合は、「効率的成長」(従業員数:増加、付加価値率:増加、労働生産性:増加)が約21%であり、従業員数を増加させながら労働生産性を向上させてきたことが分かります。一方、従業員数の減少以上に付加価値を減少させた領域④の「衰退」が約25%存在しており、6類型の中で一番比率が高いことが見て取れます。
次に、労働生産性を向上させた企業における投資行動や経営の取組を見ていきましょう。下のグラフによりますと、その取り組みは、人材育成、業務効率化、設備投資、IT投資の順で効果があったことが分かります。まずは、社員のレベルを引き上げながら業務効率を上げていく。そのような改善の中で、機械化やIT化を進めていくという手順ではないでしょうか。逆に、社員のレベルの引き上げを行わず、業務分析もしない状態で、単に機械化やIT化を進めても空回りする可能性が高いのではないでしょうか。
生産性の向上において中小企業白書では、「投資行動や人材育成等の経営の取組は、取組を開始してもすぐに効果が出るものではなく、結果が出るまでに相応の時間を要するものであり、長期的なビジョンで計画を立てて実行していくことが必要である。また、何が現状の課題となっているかを数値で認識し、取締役会等の経営会議で経営幹部と議論をすることで課題を共有し、課題解決に向けた経営計画を策定すること、また計画を実行に移し、それらの取組について効果があるかを定量的に測定・検証して、次の取組につなげていくというPDCAサイクルを回していくことが大切だ」と、まとめられております。
弊社が提供しております組織診断ツール「人財サプリ©」https://jinzai-sapuri.com/は、まさしく、このような指摘を解決するサービスです。従業員のアンケートをもとに、現状の組織の課題を炙り出し、その課題を明確に優先順位付けします。その結果を、経営陣にご説明し、共通の認識をした上で、改善プロジェクトを実施します。その後、定期的に効果測定することで、プロジェクトの成果を定量的に把握することができます。
中小企業の生産性改善の手順は、①「組織診断を行う」→②「社員教育を実施する」→③「業務改善を行う」→④「設備投資およびIT投資により、業務改善を加速する」というアプローチです。(「人財サプリ©」のリーフレットはこちら) また、8月23日に、「働き方改革と生産性を考える」セミナーを丸紅情報システムズ株式会社様と開催いたします。ご案内も合わせてご覧ください。参加をお待ちしております。

取締役 牧野 春彦