中部経済新聞に掲載されました
ものづくり補助金 2次公募・選択のコツ 《上》
中小・小規模企業の設備投資を促す「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金(通称:ものづくり補助金)」。本年2次公募が3日からスタートしました。公募期間は9月10日までです。本稿では、6月29日に明らかになった1次公募の採択結果から見られる動向や、申請のポイント、経営指標との関わりについて、2回にわたって解説します。
ものづくり補助金は新商品・サービスの開発に必要となる設備投資を上限1,000万円まで支援するもので、所管する経済産業省中小企業庁の人気施策のひとつです。
今回の1次公募における申請者は前年度比11%増の17,275件でした。中小企業の固定資産税を減免する生産性向上特別措置法による先端設備導入計画の認定を取得した企業に対し、補助率を引き上げる措置を採用したことで、更に関心が高まりました。全国各地の自治体が、新事業展開に関する設備投資減税と引き換えにものづくり補助金、言わば地元企業の設備投資意欲を後押しした結果であるともいえます。
一方で、課題も出てきています。一番大きな課題は、事業完了期限が1次公募は12月末、2次公募は来年1月末と定められていることです。私たちにご相談をいただいた企業においても、発注先の納期が間に合わないことにより、申請自体を諦めた事例も多く見受けられました。
1次公募の採択件数は、前回に比べて55%増の9,518件と大幅に増加しました。採択率は55%で、予算を1,000億円に増やした効果により、前回の採択率40%から大幅にハードルが下がっています。企業規模別の採択率を見てみると、小規模企業(社員数が製造業20人以下、商業及びサービス業5人以下)が対象となる「小規模型」は4,920件の申請に対し2,107件を採択し採択率は42%。それ以上の社員を抱える企業が対象となる「一般型」は、12,089件の申請に対し採択は7,289件で採択率60%でした。
小規模企業の申請には採点時の優遇がありましたが、それでも採択率に18%の差が見受けられます。申請書を書くという実務作業において、小規模企業の経営者が課題を抱えていたことが伺えます。
加藤 滋樹